日本代表の大きな懸念点となる守備的なWBの人材難、解決策は負傷者組の復帰と若手の成長のみか

菅原由勢(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

菅原由勢(写真:なかしまだいすけ/アフロ)
インターナショナルウィーク前の各国リーグ戦も終わり、いよいよ日本代表選手たちはアメリカ遠征に向け動き出した。

田中碧や守田英正、町田浩樹、高井幸大など怪我による未招集選手が多いのは気になるところではあるが、その点以外にも懸念されるポイントは存在する。

それが「WB」のポジションだ。

3バックが基本の日本代表、守備的なWBの人材難が懸念点となる

史上最強との呼び声高い現在の日本代表だが、その攻撃力を活かすために最も理想的なフォーメーションが現在使われている「3-4-2-1」となる。

今回のアメリカ遠征ではもしかすると「4-2-3-1」をテストする可能性もあるが、やはり基本となるのは「3-4-2-1」であるはずだ。

このフォーメーションはWBに本来WGの選手を配置することで、分厚い攻撃が可能となっている。

これまでの代表活動を踏まえると、序列的に右WBが堂安律と伊藤純也、左WBは三笘薫と中村敬斗、前田大然が中心となるはずだ。

しかし、もしも北中米W杯本番で相手国に世界的なWGの選手がいたならばどうだろうか。

押し込まれ守備が本職ではない三笘や堂安らが長時間対応しなければならない場合、明らかにミスマッチとなってしまう。

つまり、攻撃的なWBだけでなく守備力のあるWBも必要であるということだ。

今回招集された代表選手の中では、普段SBを本職としている長友佑都と望月ヘンリー海輝、追加召集の菅原由勢がそのタイプに当てはまる。

しかし、3人ともW杯本番で起用するのはやや心許ないレベルであると言わざるをえない。

もちろん望月ヘンリー海輝に関しては残り10ヶ月でワンランク上の選手に成長する可能性があるため、積極的に起用してみるのも良いが、現時点ではW杯本番に起用できるレベルではない。

残す選択肢は、「負傷離脱者の復帰」のみか。

世界トップクラスの能力を持つ冨安健洋は万全なコンディションであれば守備的なWBも完璧にこなせる選手となる。

左右のWBのどちらでもプレーできる(もちろんCBとしてもプレー可能)のは、日本代表にとって心強い限りだ。

そして復帰間近となっている伊藤洋輝も抜群の守備力を誇るWBとしてプレーできるだろう。

この2人が北中米W杯までにトップコンディションを取り戻せるかどうかが、ベスト8進出への大きなカギとなるのではないか。

森保監督がこのアメリカ遠征でどのようなチャレンジをするのか、その手腕に注目だ。