ジョーダンの靴を買う前に読んで欲しい!ジョーダンシリーズの歴史【前編】

ジョーダン全盛期で止まっているあなたであれば、恐らくAIR MAX狩りなどがあったスニーカーブームの時代を知っているはず。あのエアマックスは「95」というモデルだが、1995-96シーズンのNBAといえば、ジョーダン率いるシカゴ・ブルズの2回目の3連覇を達成する初年度である。この時にジョーダンが履いていたバッシュは「エアジョーダン11」であり、今日現在でも復刻が販売されれば即完売する人気モデルだ。

さて、あなたは今「ジョーダンシリーズ」がシリーズ何作目であるかご存じだろうか。今回はジョーダンシリーズの歴史を踏まえて、シリーズの人気ランキングなども合わせて紹介する。

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今、ジョーダンシリーズは何作目まで出ているの?

まず、ジョーダンシリーズは先日「40」をリリースした。
1985年に「AIR JORDAN 1」が発売されてから実に40周年を迎えたこのタイミングで「40作目」を販売開始するあたりがなんともジョーダンらしい。ちなみに、ジョーダンブランドは1から順番にナンバリング通りに販売されてきたわけではない。「クラシック(1〜14)」「モダン(15〜23)」「ニュージェネ(28以降)」とマニアの間ではカテゴライズされるが、この「モダン」から「ニュージェネ」の間である「24〜27」の4作は、発売した年に合わせて年号を入れて「Air Jordan 2009」という名称で販売されている。この年号バージョンは「Air Jordan 2012」まで4作品続き、翌2013年から年号をやめ「Jordan 28」に戻して販売を開始した。「28」にしたのはお察しの通り数合わせである。

シリーズ40作目を迎えて新たな挑戦として、今回の40はランニングシューズとバスケシューズの良い所取りを実現したモデルである。
専門用語抜きにわかりやすく伝えると、ランニングシューズ専用のナイキ史上最強クッションをバスケ用に改良し、かつ反発力の高いソールを両方取り入れてしまったモデルということ。これは今までナイキができていなかった最先端技術である。

具体的に、ランニングシューズ専用のクッションは柔らかすぎてバスケの動きには耐えられないと言われていた。特に横の動きに耐えられない、と。かつ沈み込みすぎてしまうと安定性に欠けると予想されていたこともあり、なかなか採用まで二の足を踏んでいた。
加えて、反発力の高いソールは分厚いこともあって母子球側、かかと側のどちらかにしか搭載できていなかった。全体に入れてしまうと非常に重くなる&不安定になると予想されていたのだ。

40ではそれぞれを改良。クッションを「柔らかすぎず、潰れすぎない」ようにし、ソールは「無駄な布を排除」して厚みの抑制に成功。また、今回は安定性を向上させる補強パーツを追加した。
結果的に「ランニング界最強のクッション」+「バスケで直感的な反発を魅せるソール」を、一部分ではなく足全体に融合させた、初めてのジョーダンである。ナイキにとって革命的な開発であったことは間違いない。「柔らかいのに安定して動きやすい」とすでに人気の今作は売り切れになっている店舗も少なくない。購入希望の場合はお早めに。

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ジョーダンシリーズの中でも人気モデルは?

シリーズが「40」まで出ていることに驚いた方もいるかもしれないが、ここからは過去のシリーズを踏まえながら人気モデルを紹介していこう。

Air Jordan 1 (1985)

まず不動の人気を誇る「ジョーダン1」。あまりにも豊富なカラーバリエーションが展開されていて、それぞれコンセプトを持って現代でも愛されるモデルである。そんな中でも一番の人気を誇るのは、間違いなくジョーダン1が発売された際にマイケル・ジョーダンが履いてNBAを席巻した「Bred(黒赤)」と「Chicago(白黒赤)」である。
ちなみにBredの方が先に販売しているカラーで、当時のNBAの「禁止カラー」として話題になったモデルである。余談に余談だが、当時のNBAは「ユニフォームに合わせて白をベースにしないといけない(厳密には51%白を使わないといけない)というルールがあったため、黒がベースのジョーダン1は、試合で履く度に1試合当たり5,000ドル(当時のレートで約120万円)を支払わないといけなかったが、これをナイキが上手くプロモーションに利用したことでも話題になった。

また、現代でもジョーダン1は販売されているが、Bredをモチーフにしたアレンジカラーであることが多い。しっかりとした復刻モデルもタイミングによっては買えるため、本物が欲しい人は時を待った方が良い。

Air Jordan 3 (1988)

ジョーダン3のタイミングで、現在まで使われている「ジャンプマン」のロゴが初めて使用された。これによって「初めてジャンプマンロゴが使われたジョーダンのシューズ」として、古くからのジョーダンファンに人気を集めているモデルである。
ナイキのデザイナー ティンカー・ハットフィールドが初めて手がけ、ジョーダンシリーズがナイキで生き残るかどうかがかかった運命の1足とも言われていた。蓋を開ければ斬新なエレファント柄とジャンプマンロゴで一気に人気が爆発。1988年のダンクコンテストでジョーダンが実際に着用し、フリースローダンクを披露した際に履いたことでさらに人気が加速した伝説の一足である。

Air Jordan 4 (1989)

映画『Do the Right Thing』の主人公が履いてストリートを歩くシーンで非常に話題となったことで、ストリートカルチャーで象徴的な存在になったジョーダン4。
また、ジョーダン3と同じくナイキのデザイナー ティンカー・ハットフィールドが手がけた2作品目ということで世間の注目度も非常に高いモデルだった。また、前年の1988年にジョーダンがシーズンMVPを受賞したことで、1989年には「バスケを知らない人でも知っている存在」になり、そのジョーダンが大きく活躍したことで人気を集めたモデルでもある。

Air Jordan 6 (1991)

ジョーダン6は、ジョーダンがジョーダンシリーズを履き始めてから初めてNBAで優勝した時に着用していたこともあり、今も非常に人気なモデルとして有名である。
また、バスケ漫画の金字塔である「SLAM DUNK」の主人公・桜木花道がバスケを始めた時に、店員が履いていたジョーダン6を無理矢理30円で購入し、漫画の中で着用したバッシュでもあることから高い人気を誇っている。作中で花道はこのジョーダン6を履き潰して「ジョーダン 1 Bred」に履き替えるが、この時も100円で無理矢理購入をした。ちなみに、桜木花道のライバルでありチームメイトの流川楓はこの次のモデルである「ジョーダン7」を履いている。


スラムダンクの桜木花道が30円で買ったジョーダン6(花道は白色)


ジョーダンがバルセロナ五輪で着用し、スラムダンクの流川楓が着用していたジョーダン7

Air Jordan 11 (1995)

今でもシリーズ最高傑作と呼び声高いのがジョーダン11。バスケットボールシューズにパテントレザー(エナメル素材)を初めて採用したシューズであり、またジョーダンの1回目の引退から復帰した年に発売したモデルであるために、多方面から注目を集めた。ついこの間まで野球をやっていたジョーダンがNBAに復帰して再び輝きを取り戻したこともあり、ジョーダン11は「勝利の靴」とも呼ばれるほどの靴になり、またジョーダン4から続くストリートカルチャーの中でも非常に人気モデルとなった。
中でも「Concord(コンコルド)」という白x黒のモデルが一番人気であり、復刻するたびに即完売。Bred(黒x赤)も人気で、ジョーダンもシカゴ・ブルズのユニフォームに合わせてよく着用していた。

Air Jordan 12 (1996)

ジョーダンは2回、3連覇を達成しているが、この96年から98年までがいわゆる「後期スリーピート」と称される時代である。この3連覇の初年度に着用し優勝を勝ち取ったモデルがジョーダン12である。また、ジョーダン12にはもうひとつ伝説がある。マイケル・ジョーダンがインフルエンザにかかって38度の発熱の中でプレーをし、38得点を記録して勝利した試合の際に履いていたという伝説だ。これによって「Flu GAME」と呼ばれることとなった黒x赤のジョーダン12は爆発的な人気を誇った。

ジョーダンシリーズの人気ランキングは?

ジョーダンシリーズは上記以外にも当然ながら人気を持ち伝説と呼ばれるシリーズはたくさんある。その特徴を一部紹介しながら、シリーズTOP 10(※)と言われる人気ナンバーを今回紹介して締めくくりたい。

順位 発売年 モデル 特徴
1位 1988 Air Jordan 3 ジャンプマンロゴ初登場。特徴的なエレファント柄が象徴的な爆発的人気の起爆剤。
2位 1985 Air Jordan 1 罰金を払いながら履き続けた伝説のモデル。Bredは今も絶えず人気。
3位 1995 Air Jordan 11 ジョーダンが1回目の引退から復帰した年に発売。バッシュに初めてエナメルを使用。
4位 1989 Air Jordan 4 映画『Do the Right Thing』で主人公が履き、ストリートで大人気となった。
5位 1991 Air Jordan 6 ジョーダンがNBAでキャリア初優勝を飾った際に着用。スラダンの桜木花道も着用。
6位 1996 Air Jordan 12 インフルエンザで38度の高熱の中38得点を記録した伝説の試合「Flu Game」で着用。
7位 1990 Air Jordan 5 WWIIの戦闘機からインスパイアされたデザインが特徴のハイテクモデル。
8位 1992 Air Jordan 7 バルセロナ五輪でジョーダンが着用したモデル。通称「Olympic」カラーは今も大人気。
9位 1993 Air Jordan 8 ジョーダンの前期スリーピートの最終年に着用。ダブルストラップが話題に。
10位 1993 Air Jordan 9 ジョーダン1回目の引退後に発売。靴底やインソールに世界各国の言語で「ジョーダン」の名前が刻まれている。

※出展:https://www.gq.com/story/air-jordans-ranked