
バスケットボールにおいて、攻撃側が優位をつくるうえで欠かせない戦術がピック&ロール(P&R)ですが、それを無力化するために重要な守備戦術の一つが「ショウディフェンス」です。
本記事では、そんなショウディフェンスの特徴や有効な場面、逆に選択すべきでない状況までをわかりやすく解説していきます。
バスケのショウディフェンスとは
ショウディフェンスとは、ピック&ロール(P&R)に対してスクリーンにつかれているディフェンスが一時的にボールハンドラーの進行方向へ姿を現して、ボールハンドラーのコースを遮断しながら時間を稼ぐ守り方を指します。
スクリーナーの後ろから唐突に前に出ることで、ボールハンドラーにプレッシャーをかけ、ドリブルのリズムや攻撃のテンポを乱すことを目的としています。
しかし、ショウディフェンスはあくまで一時的な対応であり、完全にスイッチして守り続けるのではなく、ヘッジして相手の動きを遅らせた後、素早く元のマークに戻る(リカバリー)点が特徴です。
その間に味方のガードがスクリーンを回り込んでボールハンドラーに再びつき直し、守備全体のズレを最小限に抑えながら攻撃を停滞させます。
ショウディフェンスが有効なシチュエーション
続いては、ショウディフェンスが有効なシチュエーションを紹介します。
ボールハンドラーがドリブルが得意な選手の場合
ボールハンドラーがドリブル技術に優れ、ピック&ロールから自ら得点に持ち込んだり味方へ的確にパスを展開できるタイプの選手である場合、ショウディフェンスは特に有効です。
こうした選手に自由にプレーさせると、守備側は一気に崩されてしまうため、ショウディフェンスでドリブルの進路を遮り、ボールハンドラーのテンポを乱すことが重要になります。
チーム戦術としてピック&ロールを頻繁に使用している場合
相手チームが戦術の中心としてピック&ロールを多用している場合にも、ショウディフェンスは大きな効果を発揮します。
スクリーンを起点に優位をつくり、そこから得点やチャンスメイクへつなげることを得意とするチームに対して、守備側が受け身のままでいると、攻撃のリズムを止められず連続して失点につながる危険性があります。
そこでショウディフェンスでボールハンドラーの進路を塞ぎ、プレッシャーを与えて選択肢や判断時間を奪うことによって、ピック&ロールで生まれるはずの優位をなくすことができます。
ショウディフェンスをするべきではないシチュエーション
続いては、ショウディフェンスをするべきではないシチュエーションを紹介します。
シューターがスクリーンに関与している場合
ショウディフェンスを行うと、一時的にスクリーナーはフリーになるため、スクリーナーがポップアウトして外に広がられると対応が遅れやすく、フリーでシュートを許す危険性が高まります。
特に高確率で3ポイントを沈めるタイプの選手がスクリーンに関与している場合、ショウディフェンスによって一瞬でもディフェンスが遅れた瞬間に、相手に絶好の得点チャンスを与えてしまうことになります。
ポストプレイヤーがピックをセットする場合
ショウに出たディフェンスは一時的にマークを離れることになるため、その瞬間にポストプレイヤーへインサイドのスペースが生まれてしまい、ミスマッチを許す大きなリスクが生じます。
特にフィジカルが強く、ポストアップから確実に得点につなげられるタイプの選手であれば、ショウによってマークが遅れた一瞬を突かれ、簡単にローポストで優位な体勢を作られてしまいます。
また、ヘルプを強めれば弱いサイドのディフェンスが崩れやすく、インサイドを守るはずの陣形が機能しなくなる可能性も高まります。
ボールホルダーがスピードに強みのある選手の場合
ショウに出たディフェンスは一時的に高い位置まで踏み込むため、その背後に大きなスペースが生まれやすく、俊敏なボールホルダーに一気に縦へ抜かれる危険が高まります。
特に初速が鋭く、方向転換やストップ&ゴーにも優れているタイプの選手であれば、ショウで身体を寄せきれなかった瞬間に一気に加速され、ローテーションが間に合わず守備全体が崩れる展開につながりやすくなります。
また、ビッグマンが高い位置に釣り出されることでリムプロテクトの厚みがなくなり、そのままペイントに侵入されて決定的なレイアップや合わせのパスを許してしまう可能性も高くなります。
まとめ:バスケのショウディフェンスをマスターしよう
ショウディフェンスは、ピック&ロールに対してビッグマンが積極的に前へ出てプレッシャーを与え、攻撃のテンポや選択肢を奪うことで優位を崩す高度なディフェンス戦術です。
ショウディフェンスの特性を理解し適切に使い分けることで、ピック&ロールへの対応力は大きく向上し、試合の主導権を握るための重要な武器となるでしょう。
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