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ロス五輪で卓球が6種目に拡大、「選手数はなお協議中」ITTFスティーブCEOが説明

18日、マカオで開催中のITTFワールドカップにおいて、国際卓球連盟(ITTF)が記者会見を開き、2028年ロサンゼルス五輪で卓球競技の種目数が5から6に増加することについて、幹部らが詳細を語った。

IOCによる承認を受けて初の正式種目に追加されたのは「混合団体戦」。代わりに男女それぞれの団体戦が廃止となり、男女ダブルスが2004年アテネ五輪以来の復活となった。男女シングルス、混合ダブルスはそのまま維持され、過去最大の合計6種目となる。

写真:ITTFワールドカップマカオでの会見/撮影:ONDA/Rallys
写真:ITTFワールドカップマカオでの会見/撮影:ONDA

注目されていた“種目の増加に合わせて、各国の出場選手枠を増やせるのか”という点については、現時点でパリ五輪時を上回らない予定だが、今後、ITTF評議会内で詳細を協議していくという。

スティーブ・ダントンCEOは「今後、試合形式や選手数を議論していく」と語り、選手への負担軽減や競技運営とのバランスを取る重要性を強調した。混合団体戦については「女子選手の強化にもつながる」とも述べ、中国の劉国梁副会長も「欧州諸国が今後さらに女子を強化していくだろう」と期待を寄せた。

会見におけるITTF幹部の主な発言は以下の通り。

ITTF会見概要 2028ロス五輪の卓球種目について

写真:ITTFペトラ会長/撮影:ONDA/Rallys
写真:ITTFペトラ会長/撮影:ONDA

スティーブ・ダントン(ITTF CEO)

卓球がこのような勢いを見せるのは、非常に特別な瞬間です。私自身、ITTFで20年間働いてきましたが、これほどの熱狂と関心を経験したのは初めてです。

今、私たちは世界クラスの会場で、世界クラスのイベントを提供しています。ビジネスや放送、そしてファンからの関心も高まっており、卓球は新たな高みに到達しつつあります。

しかし、これは偶然ではなく、全てが意図的な取り組みの成果です。WTT(World Table Tennis)の創設、ワールドカップの復活、そしてグローバルイベントの再構築がその一環です。その影響はすでに表れており、IOC(国際オリンピック委員会)もこの動きを評価し、今回の歴史的な決定に至ったのです。

今後、私たちは混合団体戦のフォーマットや日程、選手数などの詳細を詰めていきます。選手にとって4種目に出場する可能性がある今、より現実的な調整が求められています。

ペトラ・ソリン(ITTF会長)

私たちは現在、卓球の目覚ましい成長の真っ只中にいます。そして先週、IOCが正式に、卓球のオリンピック競技数を「6種目」に増やすことを承認しました。男子シングルス、女子シングルス、混合ダブルスに加えて、男子・女子ダブルスが復活。そして史上初めて「混合団体戦」が採用されます。

この決定は、卓球の普遍的な魅力と発展力の証であり、男女が平等にチームとして戦うという新たな価値観の体現でもあります。特に、混合団体戦は女子卓球の成長を後押しする強力な起爆剤となり、各国協会にも新たな投資と創造の機会をもたらします。成都で開催された混合団体ワールドカップが、その可能性を十分に証明してくれました。選手も観客も熱狂し、競技の新たな魅力が可視化されました。

メディア各社との質疑応答概要

写真:ITTF劉国梁副会長/撮影:ONDA/Rallys

写真:劉国梁ITTF副会長/撮影:ONDA

Q. 卓球はオリンピックで過去最も種目数が増えたことになります。IOCを納得させられた要因は?

ペトラ・ソリン会長の回答:
オリンピック競技として6種目を有するまでに成長できたことは、私たち卓球ファミリーにとって大きな誇りです。この成果は、若い世代に向けた良いメッセージにもなりますし、私たちは今後もイノベーションと進化を続けていきます。今回の拡張も、単なる提案だけではなく、成都での混合団体戦を通じてその有効性を実証できたからこそ実現しました。これが終着点ではなく、新たなスタートです。

Q. IOCの(種目数増の)決定を受けて、今後のステップや予選方式の検討状況は?

スティーブ・ダントンCEOの回答:
しかし次のステップという点では、まだITTFとして内部で進めるべきプロセスがあります。ITTF評議会を通じて、混合団体戦の試合形式やスケジュールについて、また選手数についても検討していく必要があります。

現時点では、オリンピックへの選手枠を増やすことはできませんでしたが、選手にとっては今後最大で4種目に出場する可能性もあり、負担がより大きくなることも考えられます。そういった詳細について、私たちとしてもさらに検討する必要があります。これがITTFとしての次のステップであり、さまざまな会議を経てプロセスを進めていく中で、決定内容については随時報告していく予定です。

Q. ロサンゼルス大会で卓球が6種目となったことについて、IOCを納得させた要因は何だとお考えですか?

ペトラ・ソリン会長の回答:
非常に多くの競技が同様に種目追加を目指す中で、私たちは(2023年12月と2024年12月の)成都での混合団体ワールドカップを通じて、実効性と魅力を証明できたことが大きなポイントでした。この形式は、包摂性や多様性に優れ、チームの一体感を際立たせます。観客からの反響も非常に大きく、IOCもその点を高く評価してくれました。

スティーブ・ダントンCEOによる補足:
観客構成においても、近年は特に18〜30歳の若年層、それも女性ファンが70〜80%を占めており、これは他の競技では見られない特徴です。こうしたファン層の存在が、私たちのプレゼンテーションに大きな説得力をもたらしました。

Q. どのチームが五輪初の混合団体金メダルを獲得するとお考えですか??

ペトラ・ソリン会長の回答:
これはとても良い質問なので、劉国梁副会長にお答えいただきます。

劉国梁 副会長の回答:
今回、混合団体がオリンピック種目に加わったことで、どの国も「初の金メダルを取りたい」と思っている。中国も同じです。混合団体戦は「男女平等」という理念を前提としており、これによりすべての国・地域の協会が女子チームの強化に取り組むきっかけとなります。

特にヨーロッパでは、今後数年で女子選手の育成により一層力を入れると信じています。また、種目数が6つに増えたことにより、チャンスと同時にチャレンジも生まれました。チャンスという点では、すべての国・協会に平等に与えられた機会であり、中国にとっても他国にとっても大きな挑戦です。

この動きは、卓球という競技が長年築いてきた成功を示すものであり、何人が出場できるのか、どのような試合形式にするのか、戦略や選手起用の組み合わせなど、卓球の知恵や戦術がより一層問われることになります。そして間違いなく言えるのは、卓球という競技が注目され、オリンピック委員会からも高く評価されているということです。

Q. 男女ダブルスの復活についてどう感じていますか?

劉国梁 副会長の回答:
私は選手時代にダブルスでオリンピック金メダルを獲得しました。2008年の北京大会以降、団体戦に置き換えられダブルスは姿を消しましたが、今回の復活は非常に喜ばしいことです。卓球におけるダブルスは競技の原点ともいえる存在であり、今回の復活は競技の魅力をさらに高めてくれるはずです。


Q. アメリカは卓球の伝統市場ではありませんが、ロサンゼルス五輪での成功に不安はありますか?

スティーブ・ダントン CEOの回答:
心配はしていませんが、アメリカ市場には今後さらに注力していく必要があります。今年7月にはラスベガスでWTTグランドスマッシュが初開催され、これが2028年への良い布石になると考えています。2021年のヒューストンでの世界選手権も好評で、アメリカで卓球イベントを成功させられる自信がつきました。今後も継続して盛り上げていくつもりです。

文:ラリーズ編集部

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