
片山晋呉は19年前に発売された“5,000円パター”で550万円を獲得!「元は取ったでしょ(笑)」
今季の国内シニアツアー開幕戦、「ユニテックスシニアオープン」(3月29~30日、宝塚クラシックゴルフ倶楽部)でシニア2勝目を挙げた片山晋呉。その手には変わったパターが握られていた。
片山のパターは2006年に発売された『ホワイト・スチール・トライボール SRT』。オデッセイと言えば、構えたときにボールが2つ並んで見える2001年発売の『2ボールパター』が有名で、宮里藍が使ったことで市場でも大ヒットした。今でもオデッセイのあらゆるシリーズのラインナップに入っている人気の形状だ。
2ボールパターに対して片山の1本は、構えたときにボールが3つ並んでおり、通称『3ボールパター』と呼ばれる。投影面積が大きく2ボールパターよりもやさしく打てると話題となったが、当時は大型マレットを使うプロが今よりも少なく「大きすぎる」と不評だった。また、キャディバッグに入れるとかなり幅を取ってしまうため、ウッドが入りにくくなるなどの弊害も。
そんな『3ボールパター』を片山はもともと1本所有していた。オフの合宿で使ってみたところ「フィーリングが良かった」。しかし、「古いから壊れていて、ネックがカチャカチャいう」と、試合では使えない状態。そこで新たにネットで中古品を購入したというわけ。金額はなんと5,000円だった。
片山はカスタマイズする予定だったが、グリップは白いネクスジェン、長さは32インチと買ったときのまま。長尺や中尺のパターを使ってきた片山からするとかなり短いが、「本当にフィーリングです」と気に入っている。「あるやつはほぼ買った」と、今では3ボールパターを数本所有する。
しかも、グリップに20グラムのオモリを追加していて、バランスは『B6』と現代の大型マレットパター(D、Eバランスが主流)に比べるとかなり軽い。しかし本人は「ずっと重いのばっかり使っていたけど真逆。軽いのを打ってみたかったとか、全然そんなんじゃない」と否定する。続けてこのパターの良いところを聞くと「入れば何でもいいんです。僕はこだわりがないんですよ」という。
開幕戦では優勝賞金500万円を獲得。第2戦の「ノジマチャンピオンカップ箱根 シニアプロゴルフトーナメント」(4月17~18日、箱根カントリー倶楽部)では20位タイに入り、51万7,000円を上積みした。5,000円の中古パターで実に1100倍の金額を稼いだことになる。本人は「元は取ったでしょ」といたずらに笑う。
「何でもやさしい方がいい。ただそれだけ」。国内のツアーで今でも3ボールパターを使い続けているのはおそらく片山だけだろう。やさしいクラブを積極的に取り入れる姿勢が、開幕戦優勝を呼び込んだ。
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