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軟鉄鍛造か飛び系か。「令和の“勿体ない”アベレージの典型」記者がアイアンフィッテングに光明!

普段からALBA Netは女子プロが使う「軟鉄鍛造アイアン」をよく記事にしている。理由は「最もPVが出る≒ゴルファーのニーズが表出しているから」に他ならない。が、進化した【飛び系】アイアンを売りにするヤマハから「アイアンのことをわかっていませんね~」とのご指摘が。平たく言えば「飛びだけじゃない他の魅力もある」ということだ。【飛び系】はもうオワコンなのか?「飛び」や「ストロングロフト」だけに惑わされず、真のポテンシャルを検証する時が来たのかもしれない。

アベレージ代表・編集Kが「自ら検証する」

 
ならば、こちらも最終兵器を出すしかない!当サイトのエース記者かつ、アベレージゴルファーの気持ちを最も理解する男・編集Kが自ら実験台になる、ガチ検証企画を行うことにした。1Wのヘッドスピードが40m/s前後の編集Kに、「軟鉄鍛造 VS 飛び系」の白黒をハッキリ付けてもらおう

【用意したクラブは全て7番】 
①  インプレスX D Steel(30°N.S.PRO.950GH/S、マイクラブ)
②  RMX VD/M(31°N.S.PRO.950GH neo/S、軟鉄鍛造ボディ)
③  インプレスDRIVESTAR TYPE/S(25°N.S.PRO.850GH neo/S、飛び系)
④   インプレスDRIVESTAR TYPE/S(25°純正カーボンSR、飛び系)

取材協力を仰いだ、日本シャフト本社のフィッテングスタジオは、先月オープンしたばかりで、天井に「トラックマンIO」を設置、ツアープロや有望アマに精密なアイアンフィッティングを行う特別な施設である。編集Kの症状を見てくれたのは、日本シャフトの熟練フィッター・東さんだ。
 

長年使うロフト30°のエースでヒッカケ連発

 
まずは、マイクラブの2010年製『インプレスX』を打つ編集K。打ち慣れたはずの7番で「最近こんな感じです…」とヒッカケや低いフックを頻発し、ナイスショットではトータル158.8ydを記録した。

東さんは「Kさん、キャリーが143.5ydしか出ておらず、おそらく現場ではランが減るのでトータル150ydを切るはず。もっとスピンを入れたいし、寝たモデルも試してみたいですよね?」と、早々に次のクラブの試打を促す。東さんの眼には「マイクラブが合っていない」と映るよう。
 
同じ7番でも、ボディが軟鉄鍛造の『RMX VD/M』は女子プロも好むロフト31°で、ナイスショットが139.3ydキャリーのトータル149.1yd。スピン量も5256回転と狙い通りに上げた反面、打ち出し角がエースと同じ結果に。編集K自らリクエストした「女子プロに人気モデル」だったが「ロフトが多いのに構えるとサイズが小さいから不安で、コースで振れなくなりそう」。

また、左へ巻き込むヒッカケや低いフックのミスもエースと同等以上に出てしまっており、東さんの見立てでは「小ぶりで重心距離の短いモノは、余計にフェースを返しやすい傾向があるかもしれませんね…」。となると次は、飛び系のスチールシャフト装着モデル。フィッター・東さんの見立ての本命のようだ。
 

小ぶりな31°より、大きめの飛び系が◎

 
『インプレスDRIVESTAR TYPE/S』を打つと、それまでのヒッカケから始まるのではなく、いきなり2球目に162.1ydキャリー、トータル174.4ydのフェードを放った編集K。ロフト25°はパワー不足だけにかなり心配していたが、スピン量も4092回転、着地角44.0°とエースアイアンを大きく上回る結果になった

最後は、同じ25°のTYPE/Sのヘッドに、純正カーボンシャフトを装着した軽いものをテスト。すると、打つ前に編集Kは「パワーのない僕には、軽いコレが本命かも!」と予測していたが、結果は大きくスチールシャフトの結果を下回ってしまった。

145ydキャリー、トータル157ydと距離がガクンと落ちたのは「同じヘッドなのに、クラブが軽くてなんか急に振りづらくなった」ことだった。ここまで打ってきた中で、結果は明らかに3番目にテストした③飛び系のスチールだ。フィッター東さんは、編集Kのゴルファーとしての特徴を改めてこう分析する。
 

「令和のもったいないアベレージ層の典型例」

 
今回の「コンパクトな軟鉄鍛造か、大型サイズの飛び系か?」というテーマに対して、明確に「Kさんには絶対に飛び系が合います。ヘッドサイズは少し大きめで、重心距離が長めのモノの方が低いフックになりづらいです」と断言する東さん。

「Kさんは『僕はスライサーなんです』と最初に仰いましたが、それはドライバーの症状だけを指していて、実はアイアンはチーピンやフックが多発してますよね。試打会でもそういう方が本当に多くて、ドライバーの症状や印象で自らをスライサーと仰る方が多いんです」(東さん)

間違った認識は「ドライバーの右へのミスから、カット軌道が原因と思い込むから」。編集Kもアイアンの左ミスに悩んでいたが、実際、短いアイアンはインから下ろせており、軽くて長いドライバーはややカット軌道でフェースが大きく開くこともあるものの、地面から打つ重さの合った短いクラブはインから下ろせてフェースが大きく被る状態だった。

東さんは「こういう詳しく測れる施設で一度、ご自分のスイング軌道とシャフトによる傾向を見ていただければ、もったいない思い込みから脱却できますよ」と言う。さらに問題の真因であるスイングの悪癖について説明する東さん。
 

アーリーリリースで「先が動くシャフト」はヒッカケの嵐

 
「KさんのようなHS40m/s前後のアベレージ層の方は本当に多くて、一番の問題はアーリーリリース。少し最下点が手前に来てダフリがちで、スピン量が少なくなりがちです。加えて、やさしいアイアンには先端の動くシャフトが入っていることが多いため、Kさんはアーリーリリースのせいで、先端の動きに拍車がかかってフェースを過度に返してしまいがちです。

だから、長いドライバーは軌道に対してかなりオープンフェースで右ペラかつスピンも多く、アイアンはややインサイド軌道&超クローズフェースでスピンが少なくなる、【もったいない】を絵に描いたような症状になっています。小ぶりな軟鉄系だと余計に返りやすいので、大きめで重心距離が長めの飛び系アイアンの方が、素直な球になります」(東さん)
 
今回比べた2つのヘッドで言えば、『VD/M』の方が小ぶりでオフセットが少なく、『インプレスDRIVESTAR TYPE/S』の方が大きめでオフセットが大きかったが、左に巻く原因はグース度合いよりも重心距離の方が影響が大きいとか。また、シャフトでも解決する手段が当然あるが、「まず、ヘッドの選び方でも症状が全然変わることを知ってください」。

今回、プロのための特殊な施設で編集Kのミスの原因と、「飛び系の方がスコアになりそう」ことが判明したが、東さんによれば「かなり多くの人がKさんの症状に当てはまると肉眼でも分かるため、計測器を使わなくても最初から原因と結果は想像できました」と言う。
 
編集Kは「軟鉄系に憧れもありましたけど、今回の取材でハッキリ自分の傾向がつかめて良かった。しかも、ロフトの立った飛び系でも意外にしっかり上がるし打感も普通に良いですね」と、納得。Kのような症状に当てはまる人は、飛び系の食わず嫌いをやめたほうが良さそうだ。(編集部M・K)

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