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緊迫の優勝争いも笑顔絶やさず 申ジエは“聖地”で2位「感謝したいし、うれしい」

ホールアウトでこの表情 申ジエが聖地で優勝争いを演じ2位(撮影:福田文平)

<AIG女子オープン 最終日◇25日◇セント・アンドリュース・オールドC(スコットランド)◇6784ヤード・パー72>

全英3勝目を目指し、単独首位から出た申ジエ(韓国)。最終日は4日間通して初めてのオーバーパー「74」で、結果は2位タイと優勝を逃した。だが、日本ツアーを主戦場にするベテランが世界ランカーと渡り合い、聖地で優勝争いを演じた。

1打リードで迎えた最終日。3番のボギーが先に来たが、7番でバーディを奪って折り返した。後半に入ると風はもちろん、時折、強い雨も降りコンディションはさらに難化していった。「前半まではガマンしましたが、後半は風の方向がきのうより難しかった。私の距離的には長いクラブしか打てなかった」と、後半は2つ落とし、勝利を逃す結果になった。

一時は、ジエ、リディア・コ(ニュージーランド)、ネリー・コルダ、リリア・ヴ(ともに米国)の4人が首位に並んだ。緊迫した時間が続くなかでも、笑顔を絶やさずにプレーをするジエの姿が印象的であった。「ここでプレーできることに感謝したいし、うれしい」。“聖地”セント・アンドリュースでの優勝争いを心から楽しんでいた。

「18番からやっといい天気になって、ティショットから(景色を)目に焼き付けながら歩いていた。最後はいいバーディでした」。バーディフィニッシュにこぶしを突き上げてガッツポーズ。充実感に満ちた表情を見せた。08年、12年に全英を制しているジエは、セント・アンドリュースで行われた07年、13年にも出場。これで3回目の“聖地巡礼”となったが、いつ来ても特別な場所に変わりはない。

最終日こそスコアを落としたが、連日吹き荒れた強風の中で3日間を「71」、「71」、「67」とアンダーパーにまとめていた。「ずっとこの風で大変だった。いままでの経験に無いほどでした」と、百戦錬磨のベテランをもってしてもかなりタフだった。

さらに「日本から来たから温度差もあって、体の管理が練習ラウンドから難しかった。4日間無事に回ることができてよかった。夏場にトレーニングを頑張ったのですが、体力はまだまだと感じる」。36歳にして体にムチを打ちながら、海外メジャーを戦い抜く体力はもちろん、さらなる高みを目指し、努力し続ける姿勢には脱帽するばかりだ。

今大会を終えると休息を取り、9月5日から行われる「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権」で日本ツアーに戻ってくる。「今週も寒い中、日本の方から応援をもらった。皆さんのおかげで今までプレーできているので、まだ止まらないように頑張ります」。ファンへの感謝も忘れない人格者。今大会でのジエの奮闘は、多くの人の心に刻まれたはずだ。(文・齊藤啓介)

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