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“帝王”に蛇のおもちゃを投げつけた!? リー・トレビノのユニークさは今でもゴルフ界ナンバー1

今年6月の「全米オープン選手権」の会場、パインハーストで行われた“世界ゴルフ殿堂入り”の授賞式典に、リー・トレビノ(米国)の姿があった。84歳になったレジェンドは、相変わらずジョークを飛ばし周囲の人々を大いに笑わせていた。こんなにユニークなゴルファーを他に見たことがない。

メジャー6勝、米国男子ツアー29勝、世界中で60勝を挙げたレジェンド中のレジェンド。最も活躍した1970年代は、“帝王”ジャック・ニクラスの最大のライバルだった。71年の全米オープンは18ホールのプレーオフでニクラスを下し勝利している。その際、スタート直前に蛇のおもちゃをニクラスに投げたことも話題になった。歯に衣着せぬ物言いと明るい人柄で一躍人気選手となったが、その生い立ちは決して恵まれているとは言えなかった。

39年、テキサス州ダラスでメキシコ系米国人として生まれた。幼少期は、ほとんど学校に通えず綿農家で働いていた。転機となったのは叔父がくれた古い1本のゴルフクラブ。これを機に近くのゴルフコースに忍び込んでプレー。やがてキャディとして働き、靴磨きもして生計を立てながら、コースの裏庭で練習していた。「このときに芝が十分でないベアグランドで打っていたことが、将来“ショットメーカー”と呼ばれるスイングを作った」とトレビノは振り返っている。

17歳で海兵隊に入隊し4年後に除隊。この海兵隊時代にも士官とのゴルフに時間を費やしていたという。テキサスに戻りクラブプロになったが賭けゴルフにも興じていた。67年に満を持してPGAツアーに参戦。2年目には、全米オープンで勝利し初メジャー制覇を遂げた。勝てなかったメジャーはマスターズだけ。メキシコ系米国人のトレビノにとって当初は人種差別のあったオーガスタナショナルGCは居心地が悪かったという。69年に出場した後、招待状が届いた70年、71年、74年と辞退。のちに辞退したことを「最大の過ち」と後悔した。

90年にはシニアツアーで賞金王。ゲーリー・プレーヤー、故アーノルド・パーマーらとともに同ツアーの創設期に大きな役割を果たした。現在もメキシコ系米国人のための奨学金制度を支援。「ウェスタンオープンでは落雷にもあった。4年間海兵隊にも行った。世界中をゴルフで旅をした。もう怖いものは“奥さん”以外にないよ」とトレビノ。プロゴルフを幅広い層の人気にした立役者は今も輝き、周囲を明るくしている。(文・武川玲子=米国在住)

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