菅沼菜々の魅力は“振り抜きの良さ” 究極のレベルブローはどう覚える?【優勝者のスイング】
初優勝から約2か月。「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」で、早くも2勝目を挙げた菅沼菜々。バックスイングでクラブをアウトに上げて、アップライトに振る独特なスイングだが、「以前よりもリバースっぽい動きがなくなっていて、インパクトが安定してきています。もともと飛距離の出る選手で、パットも上手。まだまだ勝利を重ねそうです」というプロコーチの南秀樹に、われわれも真似したいポイントを解説してもらった。
バックススイングで左、ダウンスイングでは右に体重が乗るリバースピボット。アベレージなら右へのプッシュや、フックが強くなりミスが頻発するが、菅沼は“体力と感性”でツアーで勝利するショットの精度を出している。「簡単に言えば地面からの反発、縦のバネを使っているので、バックスイングで左に入っても、ダウンスイングではきれいに戻ってきています。正直、柔軟性や体力(筋力)、感性が必要なスイング」と南。若いからこそのスイングで、経験を重ねたゴルファーにはメリットが少ない動きだと考えられる。
参考にしたいのは別のポイント。菅沼のショットを見ていると、ティショットはもちろん、ミドルのセカンド、ロングのサードショットなどでもクラブを振り抜いているのが印象的。フォローを小さくして距離をコントロールするような動きが、あまり見られないのだ。この振り抜きの良さこそ、われわれが参考すべきポイントで、飛距離アップや安定性の向上につながるだろう。
フィニッシュでバランスよく立つことが、気持ち良くクラブを振り抜く第一歩。そのためには力任せにクラブを振るのではなく、シャフトのしなり戻りを使うことが必須となる。「右に体重は残さず、右肩も下げないように意識。インパクトの体重配分は5:5よりも左足に多く乗ること。この3つができればクラブと体が引っ張り合ってしなり戻りが使えるようになります」。
この感覚を得るには、払い打ちの練習を取り入れたい。ゆっくりとドライバーで、両足の幅はヘッドでマットを擦るように、地面を滑らせる素振りで、レベルに打つことを意識したい。「ヘッドでマットを擦る際には、手でクラブを動かしても効果がありません。腕を伸ばした状態、特に右ヒジを伸ばした状態で、足や体の回転でヘッドを動かしてみてください。どうしたらレベルに体が動くのか、体感できます」。
この時、マットからヘッドが早く離れるようなら右肩が下がっている可能性がある。「体をレベルに回すには目線が大事。目は体の動きと連動しやすいポイントですから。目線は平行を意識すれば、軸が右に傾きにくくなります」。
素振りでイメージが沸いたら、スリークォーターのスイングからボールを打ち始めてみよう。クラブが振り抜けて、爽快なショットが放てるだろう。
南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。新宿中央クリニック所属
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