「休むことを覚える夏休みを」忙しすぎるジュニアゴルファーのみなさんへの提言【原田香里のゴルフ未来会議】
ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。原田香里です。8月も後半に入り、そろそろ暑さも落ち着く頃かな…と思いきや、まだまだ暑いです。台風とそれに伴う豪雨はひどかったですね。新幹線が止まったりもしました。被害に遭われた方、足止めされた方、みなさんにお見舞い申し上げます。
さて、今週のテーマは夏休み。ジュニアにとっては成長のチャンスでもありますが、どんな風に過ごすのがいいのか考えてみました。私のジュニア時代には、ジュニアの試合はとても少なく、長期休みを中心に年間数試合あるだけでした。そのため、夏休みはといえばひたすら毎日練習していた記憶があります。
中学生の頃はゴルフをする体を作るためではありますが、テニス部にいたこともあるので、ゴルフだけという感じではなかったですね。一方、現在のジュニアは試合がたくさんあるようです。「日本ジュニアゴルフ選手権」をはじめとする大きな試合はもちろんですが、それ以外にも自治体を含めた多くの団体がジュニアの試合を開催してくれています。我々の頃とは大違いの恵まれた環境になったのは確かです。
試合を経験することで、ただ練習したりラウンドしたりするよりも大きな成長ができるのは事実です。ただ、試合に追われ、目先のスコアばかりが気になってしまうという落とし穴もあります。
年代はさまざまですが、ジュニアと言われる高校生までは成長期にある場合がほとんどです。よく言われることですが、この時期に必要以上の筋トレをすることが、身体的成長の妨げになる場合もあるので注意が必要です。イマドキはトレーナーさんをつけていることも多いと思いますが、保護者の方も含めて相談しながら「やり過ぎ」には気を付けましょう。
ゴルフは偏った動きを繰り返すスポーツです。体の歪みも生じやすいので、ジュニアの時期から十分なストレッチなどでバランスを取ることを習慣にしましょう。利き手とは逆の素振りを繰り返すほか、基本的な動きをイメージするといいと思います。
競技ゴルフをしているジュニアの多くが、プロになることを夢見ているのではないでしょうか。小さい頃から目標を持って一つのことに一生懸命になるのは素晴らしいことです。ただ、そうであればあるほど、長い目で見た目標設定や体づくりを考えることです。スポーツ選手にケガは付き物です。ゴルフはコンタクトスポーツではありませんが、同じ動きを続けることで故障につながりやすいという面があります。プロになったばかりの若い選手でも、体のどこかに爆弾を抱えているケースも少なくありません。
故障がひどくなれば練習すらできなくなってしまいます。「無事これ名馬」という言葉がありますが、本当にそのとおりです。資本である体をしっかりと作り上げましょう。
そのためには、休むことの大切さを知る必要があります。プロになっても休むことがなかなかできない、という話を聞きます。調子がよければそのまま試合に出続けたいし、悪ければ怖くて休めない…。練習ラウンドもやらずにはいられない…。気持ちはわかりますが、どちらも気持ちの切り替えが必要です。
目先の成績や不安に振り回されて、結果的に疲労から故障してしまったり、好調だったのにケガをしてしまったり…ということもあるからです。
ジュニアのうちから、体も心も休むことを覚えましょう。休息というだけでなく、頭の中も整理できるはずです。休んだことでゴルフをしたい気持ちを思い出す。自分のいいところ、悪いところを考える時間ができる。将来についての決断ができる…。効果は大きいと思います。
もし、ジュニアのみなさんがプロになったなら、できるだけ長い間活躍するほうがいいと私は思います。最近のJLPGAツアーは層が厚くなり、息の長い選手が少なくなりましたが、それでもできるだけ長く試合でプレーできるように。試合から離れた後も、人生100年時代です。健康な体で豊かな人生を送るにはどうするのがいいか。そんなに先まで考えられないとは思いますが、なんとなくでもいいと思います。自分の人生を考える時間も大事ですよ。
繰り返すようですが、体がすべての資本です。元気がなければ、心も疲れてしまいます。その体を作るのは、トレーニングだけではありません。食べる物もとても大切です。若いうちは無茶をしがちですが、年齢を重ねたとき気付くのは、しっかりと考えて体を作ってきた人とそうでない人の違いです。
試合で結果を出すことも大切ですが、自分の将来のためにも、休んで考えること、気持ちを切り替えることを覚えることは大きな意味があります。もちろん、保護者のみなさん、指導者のみなさんも、それを見守ってあげて欲しいと思います。
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