元千葉ロッテ社長・山室晋也が進める清水エスパルスの改革

成し遂げたいことは『エスパルスで優勝』

ー企業がスポーツチームのスポンサーになることのメリットについて、山室社長はどのようにお考えですか?

山室:Jリーグは地域密着を理念として掲げ、SDGsや社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。社会に対する活動のハードルの高い一般企業が、チームを支援することで、社会的な評価を得ることができるのは大きな価値だと考えています。

近年は、売り上げやSNSのフォロワー数など、数値を重要視する経営者も増えています。しかし、スポーツビジネス、特にJリーグにおいて明確な数字で投資対効果を測定するのは難しいと思います。

プロ野球であれば、ロッテや楽天、DeNAのように、企業名が直接メディアに露出されますが、Jリーグはそうではありません。いただいた金額に対してどれだけのリターンがあるかを明言することはできないからこそ、具体的な数値ではなく、消費者の企業に対するロイヤルティの醸成に貢献したいと考えています。

ー最後に、今後エスパルスで成し遂げたいことを教えていただけますか?

山室:成し遂げたいこと…やはり優勝したいです。今は歯車がかみ合わず残留争いを強いられていますが、戦力は整いつつありますし、的確な補強をすれば優勝争いができるポテンシャルを秘めたチームだと思っています。

そのために、僕はチームを支えるビジネスを展開していく。社長に就任して2年間はコロナ禍で、スタジアムに観客を集めるための施策が全くできませんでした。新スタジアム構想も進んでいますが、まずは2万人規模のアイスタを毎試合80%埋めることを目標にしています。試合が見たくてもチケットが取れない。そんな枯渇感のある状況になれば、新スタジアム建設への気運も一気に高まっていくと思います。

Jリーグ開幕から戦う『オリジナル10』としてのブランドもありますから、結果を残せれば、必ずファンは増えると確信しています。5年後には、4万人規模のスタジアムを全国のエスパルスサポーターで埋める。壮大な計画ですが、夢ではないと思います。

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