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アビスパ福岡がデータマーケティング!? プロが手掛けるファン獲得の新戦略の裏側

ITでスポーツの世界に変革を起こせる

−東潟さん自身は元々、何かスポーツはやっていらっしゃったのでしょうか。

少年野球をやっていたので、野球は昔からずっと好きです。高校からラグビーをやっていて、今も現役でちょっと試合をしたりしています。あとはOBチームと現役のバックアップみたいなこともやっていて、今はOBチームの広報をやっています。スポーツをやるのも好きだし、支えるのも結構興味あります。

−まさか、御社に入ってこういう形でスポーツに携わると思っていましたか?

思ってないです。そういう意味だと、今回はすごく良い機会だと思っていますし、やっぱり今、単純に楽しいんですよね。この気持ちってやっぱり「俺がこのチームを変えてやる」みたいな(笑)、なんとか力にならねば!っていう、いわゆる一つのファン心理的なものだと思うんですよ。

それって、アビスパの各担当の方の苦労や努力というチームの裏側を知っていて、自分もチーム作りに関わっているっていう感覚を持っているからだと思います。裏方さんの苦労に共感して応援したくなったり、『このチームのこと、こんなに深く知っているんだぜ』というちょっとした優越感を感じてもらったり、試合の作戦を理解してもらってにわか監督になってもらったり、支えている喜び、帰属してる喜び、ファンとしての喜びをみんなにも味わってもらいたい。

この感覚って、より多くの情報の発信やファンの方との接触など、「きっかけ作り」が必要だと思っているので、いろいろお手伝いさせていただきたいです。

東潟拓朗氏

−アビスパとの提携についてプレスリリースが昨年末に出て、半年ほど経ちました。提携の期間はどのくらいを目安にしているのでしょうか。

アビスパの方たちも開幕前後が最も忙しくて、それが過ぎれば、、、みたいなことをおっしゃっていましたが、謙遜だとわかりました(笑)。常に忙しそう。現状は、担当の方の状況に合わせてデータの収集と統合を進めている段階ですので、成果を出していくのには中長期的な取り組みになりそうです。

−今年の4月、メルカリさんが鹿島アントラーズと提携したことが話題になりました。最近、徐々にIT×スポーツでやっていこう、というような流れはいろいろなところで見られますよね。

そうですね。スポーツだけでなく、マーケティングもITによる変化がいろいろ起きてるんですよ。一昔前までは、コミュニケーションとしての広告はTVや新聞、雑誌、交通広告などオフラインが中心だったんですよね。それが、インターネットやスマホの登場により広告メディアのデジタルシフトが進み、お金の流れが変わり、情報が蓄積できるようになり、プレイヤーが変わり、など激変が起こってます。

参考記事:鹿島アントラーズ×メルカリが生む、スポーツ界のデジタルイノベーションとは?

プレイヤーで言うと、一昔前までは企業の広告部と広告代理店だったところから、現在ではシステム・データを扱うことが無視できなくなり、WEB制作会社やシステム会社、ITコンサル会社など様々なプレイヤーがマーケティングに関わるようになりました。

あとは、データ蓄積の影響がとても大きくて、今まで感覚値だった広告効果とか、マーケティング施策効果も数値としてみることができるようになっています。そうなると段々と科学的アプローチが主流になってきて、なぜうまくいったのか?に対しての原因分析と、それを再現するにはどうするべきか?みたいなところが考え方として必要となってきています。

そういう観点で、ITとスポーツも同じだと思っていて、スポーツもアーティスティックで感覚の世界から、強いチームの要素分析みたいなところが進んできたと思ってますが、さらにデータ活用やテクノロジーとの融合で、全く新しい考え方やアプローチが生まれるんじゃないかと。

そういう意味で異業種・異文化の人たちが、スポーツにそれぞれの強みを持ち込むことってとても意義があることだと思います。特にテクノロジーを知っている人がスポーツに関わっていく流れが増えているのは喜ばしいなと思いますね。

アビスパの経営を安定化させ、強豪クラブにする

−サッカー用語でいうオンザピッチのところのデータではなく裏側の、そもそもお客さんを増やさないといけないという点に目をつけているところはまだ少ないのではないでしょうか。

そうですよね。もともと私の出自がコンサル業界だったり、今で言うと会社のボードメンバーだったりと、全体的に会社を見たり、裏側から見たりというところもあると思いますが、どんな業界や商材・サービスであれオペレーションをいかに効率よくやるかとか、マーケティング・ブランディング的な観点って必要だと思ってます。

新卒で僕はフューチャーアーキテクトという会社に入社しました。あそこはスカウティングシステムを2003年ぐらいから出していて。それを導入したチームが、かなり結果を残すようになっていたんです。それを見て、システムやデータ活用とスポーツクラブの親和性を実感はしていました。

お客さんを増やさないとクラブ経営が成り立たない、良いチームができないっていうのは、最近だと横浜DeNAベイスターズのスポーツマーケティングの話が有名ですが、徹底的にお客様のことを知って、球場を作り替えたりイベントやったりしている裏側にデータやシステムの力が大きく関わってます。

−なかなか表に出てこないところですよね。

まあそうですよね。スポーツやエンターテイメントの世界ってどうしても舞台に立つ人が日の目を見ますよね。改めて僕は裏方が好きだというのを感じましたね。

−今の仕事の中で、そういった裏方のやりがいみたいなところはどのような部分になりますか?また、どういう世界を作っていきたいかという点も重ねて教えてください。

正直これから、ですね。スポーツ業界はまだ、データとかマーケティングの観点を深く持っている人が少数派な世界だと思うんです。だからこそ、そこにすごく介在価値があると思っています。

これは“知ってるか知らないか”の世界じゃないですか。お客さまをクラスターに分けて、それぞれにメッセージを分けて、コミュニケーションを変えて、頻度を変えて…という基本的な構造を、実現した時に大きな成果や違いがでると思います。これは「b→dash」を導入していただいている他の企業・業界でもそうでした。なのでスポーツ業界に「b→dash」を持ち込んでも、良い成果が出るだろうなと思っていますし、その成果を見られることが今は楽しみです。

僕もいちビジネスマンとしてスポーツクラブを見たときに、「稼ぐ」という基盤の安定というのは本当に生命線だと思っています。お金がなくて潰れるところなんていくらでもある。ですから、「b→dash」を通じてアビスパの経営を安定させ、そこから強豪クラブにしていくというロマンとソロバンの両立する世界作りに寄与できたらな、と思っています。

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