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フロンターレの元プロモ部・高尾真人がカナダで第二の人生を歩む理由

“カナダでサッカー”という選択肢

この1月にカナダに渡り、事業を本格的に始めました。自分の中で大きかったのが留学時代カナダへ渡って2年目に、社会人サッカーを本格的に始めたときです。そこでサッカーの持つ力に気付かされました。スポーツ全てがそうだと思うのですが、それ自体が“言葉”だと思うし、共通理解もできて、それを通じて仲良くなれる。この経験ができたのが本当に大きかったです。

また、日本のサッカー界にあるセンシティブな問題として、「プロになりたい」という思いを持っているものの国内のクラブからは声がかからなかった学生たちをヨーロッパやアジアの下のカテゴリーのクラブに“安く売る”ような人たちが結構います。それは確かに商売にはなるかもしれないですが、選手に与えられる賃金も、条件も、怪我をした際の保証もどこまでその子たちのことを考えているのだろう?と疑問にも思います。ダメでもともとという考えであって、万が一活躍した際の移籍金という大きな見返りを狙った人たちです。僕が指導者のときに関わっていた子が大学卒業のタイミングで「どうしてもサッカーを続けたい」と言っていて、ヨーロッパへ行きました。でも、怪我をして帰国せざるを得なくなり、切羽詰まって就活をしてやっと就職できた、という感じでした。でも、それは全然彼にとって幸せにはなっていないのではないかと思ったんです。お金と時間だけを無駄にしてしまっている。そういう世界に待ったをかけたいというか、様々な選手達に海外でサッカーを続けることと、その先の違う選択肢を与えたいなと思っています。

ヨーロッパ、アジアにいく選択肢も良いとは思いますが、カナダも実はかなり環境が良い。その中で英語を学ぶこともできるので、サッカーを続ける中でかなり良い選択肢になると考えています。プレーをしながら英語を学べることで次のキャリアにも繋がりますから。

受け入れるのは高校生〜大学生と考えてます。僕の繋がりのあるカレッジリーグでは、語学学校の生徒も参加できるんです。アメリカだとTOEFLをはじめとした試験で、ある程度の点数がなければ本学生として認めてもらえないリーグが多いのですが、カナダにはそれがない。しかも、5年間プレーができるので、日本の大学で4年間しっかりとプレーしていても、残り1年をカナダでプレーすることが出来る。だから、大学を卒業するタイミングで残り1年間の挑戦と割り切って行くのも良いですし、高卒で向こうへ渡って5年間プレーをするのもありかなと。特待生を受けられる制度もあるので学費の負担の軽減にもなります。

僕の仲介で向こうのリーグ戦で活躍して、(※)バンクーバー・ホワイトキャップスの2部チームから声がかかった選手も既にいます。今年のカナダのカレッジのリーグの全国大会の決勝戦で戦った両チームに選手を紹介していたので、実績という意味ではもうできているのかなとも思います。サッカーではこのように実績も出来ているし繋がりもあるので、あとはバスケやバレーでも取り組みを増やしていければと考えています。

※カナダはバンクーバーに本拠地を置くプロサッカークラブ。2011年からメジャーリーグサッカーに参加している。平野孝、小林大悟、工藤壮人らが所属していた。

熱意があれば周りが助けてくれるごく少数の過去に受け入れられたインターンから実力が認められフロンターレの正社員になったスタッフは他にもいますが、皆さん、アルバイト期間も長く2年くらいかかるのですが、僕は運もタイミングもあって数ヶ月で正社員になることが叶ったので、かなり運が良かったなと。「フロンターレ史上最速」と言われました。ただ、その運を掴む過程の中で、とにかくよく動くようにしていたし、コネクションを作って、掴んだチャンスを離さないということはしていました。インターンの時、実家の船橋から通っていたんですよ。毎日終電ギリギリです。でも、“ここで拾われなかったらもう後はないな”と覚悟を決めてやっていましたから。そこで熱意を見せられた。認めてもらえたのかな、と思っています。

この世界に入るために必要なことは、自分の力がスポーツのためになると思ったらすぐに行動することかなと思います。どこかに連絡したり、どこかに行って何かの試合を見に行くとか。飛び込みでインターンをさせてくださいとお願いするとか。とにかく行動することですね。あとは熱意のある人じゃないと雇ってくれないんじゃないかなって。行動する力と熱意があれば道は開けると思います。そういう熱意がある方の力にもなりたいのでスポーツ関連に興味があってもどうしたらいいかわからない人は「カナダ 留学 サッカー」で検索するとトップに出てくるはずです。ぜひ相談してください。

求められている人材は、やっぱりコミュニケーションが取れる人かなと。講演で学生に話す機会も多いのですが、「スポーツ業界に限らず、コミュニケーションが取れて体力のある人はどこでもやっていける」ということは必ず言っています。人と話して何か伝えるということは非常に重要。熱意があってコミュニケーションがとれる人材で体力があれば。熱意がある人のことは周りが絶対助けてくれます。実際に僕もそういう感じでしたから。まだまだスポーツ界は小さいですし、色々な人に入ってもらって、この産業を活性化してもらいたいなと思っています。僕は日本の外に出ますが、そこで携わった子達が日本のスポーツ界に貢献してくれれば、それに勝る嬉しいことはないですね。

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