清水エスパルスを使いまくる。エス・トラストのスポンサー哲学

選手自身の価値を高める必要性

今回の新型コロナウイルスの影響を受けて、再開後のスポーツに対する期待値が今まで以上に大きくなっていると感じています。

やり方がどう変わっていくのかは難しいところですが、結局は“見てもらってなんぼ”の世界です。勝ち負けも大事ですが、一番は「お客さんにどれだけ求められているか」。例えばどれだけ1位2位争いをしていても、チームとしてトータルの売り上げが昨年から伸びていなければうまくない。たとえ順位が高くなくても、昨年から2倍、3倍と売り上げ・利益が伸びている方がプロとして価値があると思っています。

コロナ前と比べて、選手が発信することも増えました。選手が自分の価値を高めることは、とても大切なことだと感じています。もっともっと露出していって欲しいです。

静岡県内、特に清水区では清水エスパルスというクラブはかなり知られていますが、サッカーファン以外だと選手の名前を知っている人は少ない感じがします。1992年にナビスコ杯(現ルヴァン杯)で東京ヴェルディ(当時 ヴェルディ川崎)と優勝争いをしていた時代は、見に行ったことはなくても有名選手は知っていました。そう思うと、“サッカーは見ていないけど知っている”選手がいなくなってしまった印象があります。

人生の中では、サッカーをしていない時間の方が長いはずです。いかに時間を有意義に過ごし、第二の人生に繋げられるかが重要です。選手だと、スポンサー企業の社長さんに会う機会があるなどコミュニティを広げやすいので、どんどん活用して欲しいです。

SNSはタダだし、挑戦し放題。選手は影響力があるし、本気を出せばフォロワーも増やせます。将来引退して、何かを始めるときにも役に立ちます。「引退したら現役時代ほど稼げない」みたいな風潮がありますが、やり方次第で変わると思っています。普通の人が人脈を作るよりもスピード感を持ってできると思うので、若さとチャンスを活かして欲しいですね。

スポンサーメリットは“作りにいく”もの

チームスポンサーをするか悩んでいる企業様がいたら、迷わずおすすめします。ただ、明確な目的や目標は必要です。なければただのボランティアになってしまうので。むしろ目標が明確ならば、迷うことがないと思います。

うちの会社の場合、スポンサーをする目的は信頼度獲得です。OA機器販売のビジネスは何十年も前からありますし、営業も人気の職種ではありません。なので若い世代にいち選択肢として見てもらうためには、かなりブランディングをしていかなければなりません。身の丈のことをしていてもダメなんです。大きな投資をして、スポンサーの名だたる企業の仲間入りをすることで信頼が得られました。

目的が「知名度向上」だけだと、周囲の理解が得にくいです。しっかり投資をして、「こういう結果を引っ張ってくるぞ」という意気込みでやることが重要です。ただスポンサーをやってチームを応援するのではなく、「清水エスパルス」というブランドを使わせてください、と。自己満足で終わらせず、考えてやっていくことです。

よく「スポンサーをやるメリットは何ですか?」と聞く人が多いですが、その質問自体に違和感があります。お金を出してどういうメリットがあるのかを探るというより、自分から作りにいくものだと考えています。「お金を出したからには使わせてください」と言って、使いまくります。クラブの名前もバンバン出しますし、結果的にwin-winなんです。

今はどの企業も苦しい時期です。でも、危機的状況にこそ人は成長できると思っています。この試練を乗り越えることが成長に繋がると信じて、前に進んでいきたいです。

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