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私が銀行を辞め、サッカー界に戻ったワケ。池西希(V・ファーレン長崎)

V・ファーレン長崎の魅力

冒頭でも触れましたが、社会人を5年経験したタイミングで、もう一度サッカーに関わりたいと思うように。SHCについて教えてもらい、自分の中でも「スポーツビジネス」という言葉がフワフワしていたので、まずはしっかり勉強してみることにしました。

SHCでは、スポーツビジネスですでに活躍されている方々の講義を受けたり、スポーツ界を志す仲間と議論をしたりする時間がとても濃密でした。参加者の年齢層や経験値は幅広かったですが、私みたいな若手に対してもリスペクトを持って接していただけて、とてもフラットで刺激的な環境でした。SHCで得た人とのつながりは本当に大きかったですし、今でも大切にしています。

V・ファーレン長崎への転職が決まったきっかけは、大学時代の先輩である島田譲選手(現在 アルビレックス新潟へ期限付き移籍中)がきっかけでした。彼の紹介でスタッフの方と何度か話す機会をいただき、縁あって入社することを決めました。

長崎という遠い地へ移ることに不安もありました。でも、V・ファーレン長崎の未来には、新スタジアムの構想もありましたし、会社のクラブへの投資の仕方を見ていても、勢いのあるクラブだなと。できることの幅が広いのではないかと感じたので、挑戦することにしました。

選手と共に、未来を作る

今は、中学生や高校生の育成を担当しているアカデミー課で働いています。やっていることは、アカデミーに関わる事務全般です。トップチームとも連携したユースの育成方針を作っていくといったことや、遠征のスケジュールの手配口座の引き落としといった経理のことまで、幅広く担当しています。

選手と直接コミュニケーションをとる機会も多いです。特にU18の選手なら、進路はとても大切になってくるので、そのフォローも大きな役割です。本人と進路に対する考え方を共有したり「もっとこういうところを整理した方が良いのでは?」などとコミュニケーションをとりながら、コーチ陣と一緒に最適な育成方針や研修を考えています。

V・ファーレン長崎のアカデミーでは人間性を育むことをとても大切にしています。どういう研修をすれば良いのかを現場から吸い取って、実際に実行していくのが私の仕事です。

育成部はトップチームほど注目はされません。ですが、選手一人ひとりの将来に強く影響を及ぼすことになるという、違ったやりがいを感じられます。私たちが正しくないアプローチをしてしまうと、その子の人生に負の影響を与えてしまう可能性もあるので、責任も感じますね。

育成は、先が長く、5年10年と時間が経って徐々にでき上がっていくものだと思っています。V・ファーレン長崎はまだ今の体制になって歴史が浅いクラブ。地理的にも日本の西にあるので、わざわざ長崎に来てサッカーをしたいと思ってもらえるように、ここからさらに発展していかなければならないと感じています。ここから先のV・ファーレン長崎アカデミーの骨子となるような方針や戦略を考えるのは、とてもワクワクするところです。

「何ができるのか」を明確に

スポーツ業界以外の場所で一度キャリアを積んだことが、私にとってはすごく意味のあるものだったと感じています。サッカーが全くない世界で自分を表現しなければならない、という経験は貴重でしたし、視野が広がりました。

最近になって、様々な方々のスポーツ界への参入や発信によって、「スポーツビジネス」というものの価値が日本でも徐々に大きくなってきているように感じます。その中でスポーツ界を志すなら、今まで自分が生きてきた背景を踏まえて、私がこの業界に対してできることは何かを考えるべきだと思います。

何に貢献して、何を表現したいのか。そういった動機をしっかりと持って入ってくることが大切かなと思います。

池西希

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