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【国際親善試合】セレソンとの2連戦を経て、アジア王者を目指す木暮賢一郎監督。「強いチームと戦わないと成長はない」

18日、日本代表とブラジル代表による国際親善試合が愛知県のスカイホール豊田で行われた。

結果は、第1戦と同じスコアの1-5。それでも残り30分までは0-1のまま善戦し、短期間での進歩をピッチ上で示した。木暮賢一郎監督はこの第2戦を振り返り、何を感じたのか。

そして、この2試合を受けて9月27日から10月8日にかけて行われるAFCフットサルアジアカップクウェート2022で優勝するために、何を経験したと感じているのか。木暮監督がブラジル戦を総括した。

残り10分まで計画通りにゲームが進んでいた

──試合を振り返って。

1戦目を経て、残り10分くらいまでは違った姿を間違いなく見せられたと思います。選手は勇敢に戦ってくれました。

ゲームプランとして、うまく進んでいたのは事実ですけど、攻撃、守備で少しでもエラーが出てしまうと大きな傷になってしまうのは1戦目同様、若いチームが学ばなければいけないことです。

2試合合計80分間、強豪国と戦えたのは、我々が望んでいたプランニングです。強いチームと戦わないと成長はありません。敗戦は結果として受け入れますが、大きな成功を掴むためのプロセスとしては、必要な過程と認識しています。具体的には、次のターゲットであるアジアカップでチャンピオンになるために、さらなる準備をしていきたいです。

──終盤までいいゲームができていたと思います。第1戦の結果を踏まえて、修正した部分は?

メンタル的なところでは、シンプルに相手を怖がらず勇気を持って戦うところです。そして、戦術的な修正点は押し込まれたところでの一瞬の隙を突いてくるというところは、改めて対策しないといけないので、明確に迷わずにマンツーマンで対応するところに関しては、選手は違いを見せてくれました。

攻撃に関しては、1戦目も数字と印象、分析のところでの隔たりはあったと思っていますので、やれているものを継続的に続けています。今日のゲームも一試合目以上にゴールチャンスを明確なチャンスを作れていたと思いますけども、それを数字に変えていかないと、こういうレベルでのゲームにおいては、スコアを動かすことは難しいと思いますので、そこは引き続き取り組んでいきたいです。

大きく変わったのは、戦略的なプランニングはよりシビアに、このゲームでプランを進めるための采配の変更は一試合目よりもあったと思います。

──ゴールチャンスを決めきれなかったとのことですが、ピヴォの平田・ネト・アントニオ・マサノリ、清水和也のプレーについてどのように感じていますか?

2試合を通じて、しっかりとピヴォを使えている時間は相手も嫌がっていたと思います。フィニッシュだけでなく、ボールを循環させるところでも機能していたという見方をしています。たとえば、長坂拓海の起用が少なくなったのは相手との噛み合わせです。

ただ、ピヴォはゴールが求められているポジションですので、いいプレーをして終わりではなく、どんな相手でもしっかりとゴール取れる選手になってほしいです。日本人のピヴォは、国内外に若くて才能のある複数のピヴォがいると見ています。そこは向こう何年か、競争のなかでいいピヴォが現れてくると思います。

──アジアカップのバックアップメンバーになる選手以外に起用されなかった選手がいました。この試合でピッチに立たせれば、大きな経験になったと思うのですが、決断の背景を教えてください。

残り10分まで計画通りにゲームが進んでいたところがあります。おっしゃる通り、このレベルのゲームをピッチで体感することは成長につながりますが、代表チームというのは選手が成長する場のプラオリティは高くないです。ホームでゲームをやる意味というのは私自信、十分理解していますし、1戦目の敗戦も十分に理解しています。そのなかで2戦目をどう戦うか。

最後は差を離されてしまいましたけども、2試合めに勝つためのプランにおいて、ある程度機能していたところもありますので、使うタイミングがなかった。そして最後に点差が離れてしまったことで、攻撃に力を割かなければいけませんでした。そこでポジション特性や相手との噛み合わせというところでの采配になりますけど、彼らもアジアチャンピオンになるための必要なピースですし、そこはトレーニングを含めて、さまざまな解決策、戦略的な噛み合わせ、セットは引き続き準備していきたいと思います。

──第1戦でハットトリックを決められてしまったピトへのマークについて。

ピトとアルトゥールという噛み合わせで、ピトが下がればアルトゥールを下げる。ピトが出ればアルトゥールを投入するというプランニングで、1試合目よりもに2試合目の方が明確にマッチアップを考えていました。

ゲームは攻守が入れ替わるので、常にマッチアップが可能ではないですけど、少なくてもピッチ内では噛み合わせていました。点差が開いてからは攻撃に時間を割かなければいけなかったり、パワープレーを使う前のリスクを取るというところで、そのタイミングで(原田)快を入れるといったものは、元々のプランとして持っていたもの。なので、その時間帯は合わないことがありましたが、(点差が開くまでの)30分間はピトとアルトゥールのマッチアップで進んでいました。

10年かけて埋めた差を2年、3年で埋める

──名前の挙がった原田選手が今日は第2ピリオドから出てきました。2試合を通じた彼の評価は?

できないことも多いですけど、それ以上に、ボールを持った時にゲームのリズムを変えられる。そして個の力で打開できるという稀有な存在です。使い方は考えないといけない。今日のゲームでは、安定的に拮抗した状態を最後まで作り出すプランニングだったので、第2ピリオド間で出場機会がありませんでした。

出た時間でチャンスを作り出したプレーもありましたし、最後の失点ところでは、エリア内でのマッチアップで先に触られたりした体のところも含めて課題はありますけど、戦略上、必要なピースと捉えています。

──金澤空選手の評価はいかがでしょうか?

空に関しては、利き足が違えど(原田と)同じ座標軸にありますが、やれることは当然多いですし、スピードがあるので守備の面では1対1にしっかり対応できます。ただ今日の先制点は、そこでの1対1からというのはありますけど、そこは引き続きできると思って彼らを呼んでいますし、ミスのない選手はいません。そのミスから学こと、そして、その一つのミスでゲームが変わってしまうという、クラブレベルではなかなか体感できないことを彼らは学んでくれたと思います。その学ぶスピードを引き上げるのが私の役割ですし、戦略上、アジアカップでは必要です。だから招集しているので、若いからただ呼んでいるというわけではないです。

──久しぶりに国内で代表戦を2試合戦った感想を教えてください。

本当に幸せなことですし、フットサルの魅力をライブで多くの方に見ていただける素晴らしい機会を与えていただいて、感謝の気持ちでいっぱいです。代表チームとしてもそうですし、何よりも選手たちが、そういった空気感を2年ぶりに触れることができ、またほとんどの選手がそれを初めて経験したということは、大きな成果を得るための必要なプロセスとして間違いなく重要な2試合になったと思います。

ただ、これだけ注目をされているので、代表チームとしては結果に対してしっかりと受け入れないといけない。私の考えとしては、国内でできる、だからたくさん点を取って、大勝する姿を見せるのも必要ですけども、代表チームが本当に高いところへ行くには、置きに行くようなマッチメイクではなく、世界のトップトップと試合をしなければいけない。具体的には、今回のブラジルやスペイン、ポルトガルといった世界のトップの国と国内ゲームでマッチメイクをして、本当のリアルな姿を見ていただく。そのなかで我々がたどり着きたい大きなゴールは、アジアカップの優勝やW杯で今まで以上の成果を挙げることです。

そういった大きな目標に対してのプロジェクトを進めていますので、この結果を恥ずかしがる必要はないです。代表の誇りに懸けて、次に対戦する時は同じような結果を起こしてはいけませんが、物事には必要なプロセスがあると思っています。最近の事例で言えば、スペインで行われたスペイン代表戦で1-9で敗れたというのもそんなに昔のことではないと思っています。自分としては、世界の強豪国と対戦することの意味はあると思っています。

今回のブラジルについて「人数が少ない」とか「エースのフェラオを初めとした何人かの選手がいない」といった意見もあると思いますけど、今日の試合で長い時間出ていた選手たちはブラジルチャンピオン(マグヌス・フットサル)とスペインチャンピオン(FCバルセロナ)、ヨーロッパのチャンピオンズリーグで3位になったチーム(SLベンフィカ)に所属する世界トップの選手がいたことは事実です。

その選手が7人であってもやれるのがブラジルの強さですし、その状況で守備ラインを下げて、手堅くプレーしたり、GK使ってゲームをコントロールするというしたたかな側面は他の国にない部分。そういう背景を持ったトップトップの代表チームと2試合できたことを成功への糧としたいです。

──ブラジルと2試合戦って感じた木暮ジャパンの現在地、アジアカップへ向けて伸ばしたい部分を教えてください。

私自身、選手、コーチ、監督として20年以上、代表チームでブラジルやスペイン、ポルトガルといった強豪国と何度も何度も対戦して、その度に縮まっているところ、差があるところは変わらず存在していますが、我々が世界チャンピオンにならない限り、現在地の大枠の軸は変わらないのかなと。チャンピオンになる以外、彼らを上回っていると胸を張って言えないと思いますので、差があるかないかで言えばチャンピオン以外のチームは差があると私は認識しています。それはパスのスピード然り、ボールを受けるタイミング、フィニッシュの精度、フィジカル的なもの。時が経って我々も成長していますけど、差がある認識です。

ただ、これだけ世代が変わるというのは、当然背景がありますので、そこが急務です。たとえば、大会前に激励に来てくれた星翔太は、自分が現役最後の方にプレーしていた時、彼は20代前半で代表に来て、12年くらいプレーしていました。ここに(記者として)いる渡邉知晃くんも長い間、代表として歴史を作ってきました。一つの世代が長い間時間をかけて、様々な経験をして集大成を迎えたのが昨年のW杯です。そこにいた選手、いなかった選手がいますけど、進んできた方向性で言うと滝田学や仁部屋和弘といった85年、86年くらいの世代の選手が20代前半の時から10年以上かけて一つの集大成を迎えたと思っています。

なので、ポッカリと空いている世代があるのは間違いないですし、そういったことが今後起きないように、新しいプロジェクトとして育成年代から私も率いています。世代間の空洞が生まれないために、こういった強化が必要だと思います。差はあって然りですけど、過去にも差を埋めてきた事実があります。そのスピードを、今まで10年かかったのなら我々は2年、3年で埋める努力をしている最中です。

一方で、アジアでと考えると、日本はイランと並ぶポジションを維持していると思っています。もちろん、他国の発展もありますけど、それはアジアのなかの日本フットサルのプライドとして、世代問わず競争力を持って、イランに競り勝つのが代表の指名です。リスペクトを受けた状態で戦う試合が多いというのも事実だと思っているので、今日のような試合をリアルに体感できるのはおそらくイランやウズベキスタンといった片手に収まるくらいの国と近しい試合を今日は経験できたと思っています。

今度は、今日ブラジルが我々にしたようなしたたかさを持って、自分たちがゲームをコントロールして、差を広げて勝ち進むことをアジアの中でやらなければいけないと思っています。自分たちがブラジルにやれたこと、やられたこと、全てがアジアでチャンピオンになるために必要な要素です。アジアチャンピオンになって日本に帰ってきたいですし、それができる選手の集まりだと私は思っています。

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