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「松井大輔にはピッチに立ってほしい」。横浜・鳥丸太作新監督が目指す“ボールを保持する”スタイルとは?

Y.S.C.C.横浜は今シーズン、新監督を迎えた。鳥丸太作だ。

ステラミーゴいわて花巻、バルドラール浦安で選手としても活躍し、現役引退後に指導者の道へと進んだ鳥丸は今、新しい才覚を発揮している。

関東リーグのデルミリオーレクラウド群馬を指揮して、2020シーズンにリーグを初制覇。群馬県リーグからスタートしたクラブにとって、悲願の優勝だった。さらに小学生年代のフットサルチーム、RAD FCでは大人顔負けのプレス回避や連動したパス回しを構築し、業界で大きな話題を集めた。ほかにも、定期的にアドバイザーとして関わる育成年代のチームでも、軒並み子どもたちの目を見張るようなプレーを引き出しているのだ。

そんな彼が、満を侍してFリーグに挑む。

鳥丸監督が目指すのは「ボールを保持するフットサル」。とりわけ、フットサルらしい戦術をチームに授け、サッカースタイルとの融合を図る今シーズンは腕の見せどころだ。

高校年代や大学サッカーで研鑽を積んだ“ポテンシャルの宝庫”と言われる横浜の選手たちが、鳥丸監督の指導を経て、どんな進化を遂げるのか。

新生・横浜スタイル。クラブを新しいフェーズへ導く鳥丸監督が思い描くものとは。

※インタビューは5月11日に実施

インタビュー・編集=渡邉知晃

♦︎Fリーグ2022-2023 試合日程・放送予定♦︎

鳥丸スタイルで目指す新しい横浜フットサル

──まずはY.S.C.C.横浜の監督に就任した経緯を教えてください。

横浜のGMから電話があり、「ぜひ監督をやってほしい」というところからでした。全く予想していなかったし、Fリーグの監督を自分がやり切れるだろうかと思っていたので、最初は断りました。

だけど、せっかくもらった話ですし、練習を見に行きました。トモ(渡邉知晃)もわかると思うけど、横浜ってすごくおもしろい選手が多い。それを見てからは「やってみたい」と思い始めたのですが、当然、いろんなハードルがありました。

特に、デルミリオーレクラウド群馬の監督兼選手をしていたので、そこを離れる影響と、仕事のこと。基本的には夜に仕事をしているので、横浜の練習は早朝ですから、本当にさまざまな部分を変えないといけないなと。でも、クラウドの代表の小林洋介さんに話したらすごく後押ししてもらえて、仕事仲間も協力してくれて、トントン拍子で話が進みました。

本当にゼロだったところから動き始めて、やることになりました。

──当然、契約は複数年のオファーですよね?

最初に「2年は見てほしい」という話をもらいました。でも自分は、クラウドでもそうだったのですけど、「ダメだと思ったらいつでも切ってもらって大丈夫です」と伝えてきました。2年契約ですけど単年のつもりでやっています。

1年というよりもさらに短いスパンで、結果が出なければ切ってもらっていいし、自分の取り組みや選手を見て、良くないと思ったら遠慮なく言ってくださいというスタンスです。

──どうやってほしいという具体的な話は?

まず、プレーモデルは好きにやってくださいと言われました。チームの目標は、タイトルを意識しながら戦えるチームにしてほしいというところですね。

──今シーズンの始動は?

4月6日ですね。Fリーグのなかでは早いほうだと思います。横浜武道館が使える日だったので、そこに合わせて始動しました。

──1カ月やってきた感触はどうですか?

振り返ると、まず選手がよく順応してくれている印象です。大きな視点で見れば順調です。今までの横浜は、ピヴォに当てることを中心に攻撃をつくっていました。それを変えて、選手同士が近い距離でボールポゼッションをすることが多くなってきました。DFのここをついてほしい、こうやってズラしてほしい、こうやって数的有利を作ってほしいと俺がうるさく言っているので。選手も我慢強く、自分に歩み寄ってくれている印象です。

──鳥丸監督が目指すスタイルやシステム、戦術は?

まずは、システムにとらわれないところを目指しています。俺の好みは、しっかりボールを保持しながらプレスを回避して、DFを観察して手前でのカットインで数的有利を作り、それがダメなら飛ばしてプレスを回避して前進すること。

裏に蹴るのがダメなのではなく、チームで共有していれば、そこに蹴ることもあります。選手同士の近い距離感から、まずはボールをしっかりと持つことで攻撃の時間を長くする。そのままプレス回避で前進できたら、ピヴォに強力な選手がいるので、彼らを使って攻撃しつつ、アラにもタレントがいるのでそこの1対1も使いながらフィニッシュまで持っていく。

システムという言葉を使うと役割が固定されてしまうから、とらわれずに流動的にしたい。「ボールを持つこと」がコンセプトのチームづくりをしています。

──監督1年目ですが、具体的な目標はありますか?

もちろん「タイトルを取る!」と言いたい気持ちはあります。チームの目標も自分へのオーダーもそこなのでそう言いたいけど、現実的には「リーグで3位以内に入ること」です。昨年が10位ですから、いきなり「タイトル」とは俺の性格上、言いづらいから複雑です(苦笑)。もちろん上を目指してやるけど、謙虚にやりたいという気持ちもあります。

鳥丸監督が二刀流・松井大輔に望むこと

──松井大輔選手の起用法について、鳥丸監督はどのように考えていますか?

まず、松井選手は、Fリーグの試合のピッチにできるだけ立ってほしいと思っています。役割としては、以前はピヴォに固定して入っていたイメージですが、彼の持っている技術はセンターレーンでこそ生きると思っています。そのレーンでのプレーが、彼のファンタジスタとしての即興性、パスセンスや、俺には見えないようなタイミングやパスコースを持っていると感じますから、そういうところで力を発揮してほしいと思っています。

──コミュニケーションは取れていますか?

サッカーのJ3がスタートしていますし、“二刀流”は松井選手自身も初めてのことですから、かなり難しさを感じながらやれることをやっています。事実として、フットサルのトレーニングにフルコミットできているとは言えません。ですけど、なんとかうまくフォーマットをつくって、できればサッカーとフットサルの両方で活躍してほしいと思っています。

──Fリーグ開幕後も両方を行き来する?

そうなります。

──開幕後も比重の置き方は変わらない?

それは、サッカー側のフロントと相談ですね。これはあくまで個人的な考えですけど……松井選手はサッカーの元日本代表ですし、経験も申し分ないですから、サッカーへのアジャストは早いと思います。だからこそ、フットサルに多めに出てほしいな、と。

フットサルは人数が少ない分、試合中一人にかかる責任の比重が大きいですし、俺としても伝えたいことがまだまだたくさんあります。フットサルの数的有利を生み出すためのあらゆるアクション、マークを外す、外せたら自分が止まって受けることでフリーになるなど、そうした技術はフットサルでこそ獲得できるものですから、それらをサッカーに生かしてほしいなと、個人的には思っています。

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