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アスリートに必要なのは「スルー力」。誹謗中傷されまくった元選手の提言

東京五輪の期間中、SNSで選手が誹謗中傷を浴びるケースがたびたび取り沙汰された。

これまでも、アスリートに心ない言葉を浴びせる事例はあった。今大会ではその流れが加速し、あまりの状況に選手や関係者がリアクションしているケースも目立つ。

なぜ、選手の晴れの舞台で、主役を貶める行為が起きるのか。そんな時、選手はどう対処すべきなのか。かつて、同じように誹謗中傷を浴び、苦しんだ経験を持つスプリントコーチ・秋本真吾氏は、東京五輪を取り巻く選手への誹謗中傷に、「辟易しているが、対策はある」と言う。

全ての競技者が知っておくべき、SNS時代のアスリート必見のメッセージをお届けする。

「批判」と「非難」を仕分けよう

──最近、オリンピアンたちがSNSでの誹謗中傷に言及することが多い傾向にあります。

秋本真吾(以下、秋本) 最初、選手に対して開催反対派の人間から「(五輪に)出るなよ!」という声が挙がり始めましたよね。僕からすると、それはスーパーナンセンスで、選手が全員、出場をボイコットするわけないじゃないですか。

アスリートからすると、五輪に人生を懸けて挑んでいることをまずは分かってほしい。プロ野球選手やプロサッカー選手は他にお金を稼ぐステージがありますけど、陸上や水泳などプロスポーツじゃない個人競技の選手は、五輪に出るか出ないかで人生が大きく変わる。「出るなよ」と言われても、「いやいや、逆のことを言われたらあなた出ないで済みますか」という話ですよね。

卓球の水谷(隼)さんの切り込みがきっかけになって話題が大きくなって、別に拾わなくていいのに記者がそれを拾いにいって、いろいろな選手が「実は私も(誹謗中傷を)受けているんですよ」という感じで取り上げられていると思うんです。

これは、いい傾向だとも思っていて、ここからバンバン取り締まりが始まっていくと思います。こういった問題が起きてはダメだという前提ですけど、誰かが亡くなったり、大きな被害が発生して課題解決に動いていくような感じになっている。要は、誰でも彼でもSNSで自由に発信していいという動きじゃなくなることが大事だと僕は考えています。

──リオ五輪の時もTwitterなどのSNSはすでにありましたが、誹謗中傷が顕在化したのは今大会からのようにも思えます。

秋本 選手に「オリンピックに出るんですか?」と言い放った一部の人がきっかけだと思います。サッカーや野球みたいに結果が出ない時に「何やってんだ!」と野次られるのと今回のケースとは別ものだなと。「コロナがこんなに酷い状況になっているのに本当に出るの?」というような、違う観点から選手は責められているのではないかと感じています。

──秋本さん自身も誹謗中傷の被害にあったことがあります。どんな気持ちでしたか?

秋本 僕は五輪でメダルを取るレベルではなかったので、試合で走れなくても「何やってんだよ!」と言われることはありませんでした。今ほどSNSも普及していなかったですしね。

引退後に「スプリントコーチ」という肩書きを名乗り始め、プロ選手や子どもを教えていました。その活動を発信したり、取り上げられたりした際に、「何をえらそうに」とか「結果が出てないおまえが何を言ってるんだ」と非難されるようになりました。

結局は「批判」と「非難」をどれだけ受け止められるか。僕のコーチングに対して「わかりづらい」とか「言い方が複雑」と言われたら「改善しよう」と思う。一方で、「きもい」「死ね」「おまえ誰だよ」と言われても修正しようがないので流しています。受け止める時は受け止めるよう、僕なりのアルゴリズムで自動的に線引きしています。

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