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【スペイン戦前日WEB取材】世界ランク1位でも、守備の時間が長くても「主導権を握るところを」。静かに、でもきっと星翔太は最後までギラつく。

フットサル日本代表は17日、FIFA フットサル ワールドカップ リトアニア 2021のグループステージ第2戦でスペイン代表と対戦する。9年前を知るベテラン・星翔太が、前日会見に臨んだ。

約2ヵ月にも及ぶ準備期間を過ごし、様々な想いを巡らせてきたこととは対照的に、大会期間に突入すると驚くほど早く時は流れていく。「初戦がすべて」は一昨日までで、ファンの関心はもう、7割近くが「明日のスペイン戦」である。

そこをあえて、少しだけアンゴラ戦の回想を。後に12ゴールが乱れ交うことを知らなかった緊張の試合立ち上がり、ファーストセットから最初にバトンを受けたのは、星翔太だった。ファーストセットとセカンドセットの4枚代えではなく、1枚だけ。重要な役目を与えられた。

ゴレイロの正面にシュートを当ててしまった場面は、後に室田祐希のゴールを演出することになる、ループシュートへの布石だったのではないか。いやそれは、勝ったから言える、ご都合解釈だろう。1つ確実なのは、すべてだった初戦の大事な立ち上がり「流れをつなぐ大役を星翔太は見事に担った」と言うことで、これはダメ押しの8点目と同等かそれ以上に価値があることだと、個人的には思っている。

さてインタビューの7割は、すべてだったアンゴラ戦の話題。これを読んで明日のスペイン戦に想いを馳せようではないか。

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長い準備期間のおかげで気負いはなかった。勝つべくして勝った初戦

──ナイス勝利!ナイスゴール!初戦の振り返りを。
勝つべくして勝ったかなと。準備してきたことの成果が出せたかなと思います。

──2回目のW杯。その舞台に立った気持ちは?
前回の大会を逃して、必ず来なければいけない舞台。そこは、もちろん大会前のほうが、ここに来なきゃという思いが強かったです。実際に立ってみて、Fリーグでやってきた成果、日本代表として、勝たなければいけないという思いが強かった。この舞台が特別と思うよりは、勝つために何ができるかをすごく考えていました。

──2012年に代表キャプテンを務めた小宮山友祐(現バルドラール浦安監督)が、緊張感の高い初戦は経験のあるベテランが鍵だと話していました。W杯経験者は星翔太選手と逸見勝利ラファエルだけ。選手に伝えたことはありますか?
前にも話しましたが、自分たちが思っている以上に行動しないといけない。「思いついたらその場で行動したり、コミュニケーションを取るようにしよう」と。小さいことの積み重ねが、気づけば山のように大きな問題になっていたりする。だからその場で解決すること。試合でも小さなミスで、どうリアクションを取れるかが大事で、そこが結果につながっていく。試合では小さなミス、大きなミスもあったと思いますが、それに対して前向きに取り組めたと思います。それは僕が言ったことというより、みんながチームでどんな役割で、どう行動できるかを考えた結果だと思う。僕も伝えようと思っていましたが、若い選手も主体的に行動した結果だと思います。なので、次からより楽しみな試合になると思います。

──乗り切れていない選手、緊張に負けそうな選手は、星選手から見ていなかった?
いないと思います。良くも悪くも、今のチームは準備期間が長かったので、プレッシャーとか気負いとか、そういうものがない。実際に親善試合では強豪国ともかなり試合できたので、そこに対してフリーズする瞬間がない。でも初戦を振り返ると、自分たちが明確に緊張していることを感じられたほうが、リアクションを取りやすかっただろうなと。「緊張なく入れたのにボールが足につかないのは、なんでだろう」とかは、自覚のない小さな緊張のせいだったと思う。ただそれも初戦が終わったので解決されますし、全体としてはほどよい緊張感で、この舞台を楽しむことに向いていたので、すごくいい状態だと思います。

──「星兄弟」と周囲からも特別な見られ方をされ、大きな反響もあるかと思います。兄弟でW杯に立ったこと、また、ご家族からのメッセージなどの反応はどうでしたか?
(大きな反響は)どうんなんですかね? 僕個人としては、ものすごく嬉しいことです。兄弟でずっとフットサルをしてきましたが、同じクラブでやったことがなく、ようやく(2018年に)名古屋オーシャンズに僕が移籍して一緒にプレーすることができました。それが今では代表でも一緒にできている。これを実現するのは本当に簡単ではなくて、監督の判断と自分のパフォーマンスが合致しないとできないですし。それが、まずは1試合目のメンバーに入ることができ、同じセットで出られて、2人でゴールもできて、勝利に絡めた。それはすごくよかったと思います。家族の反応は、試合前に母からら「おまえたち兄弟ならやれるよ」とメッセージをもらいました。

SNSなども見ていますし、ありがたいことに一部のメディアで取り上げていただいたりもしていますが、おっしゃられた(「星兄弟」が特別で大きな反響があるという)ことは、どうですかね。ありがたいことですが。あくまでスタートラインなので、ここからの2試合でどう貢献するかを考えています。

──アンゴラ戦の8点目は、残り時間数秒でのゴールでした。解説をお願いします。
時間は見ていなくて。相手の切り替えが遅かったので「早く切り替えられれば…」と。ゴレイロが普段からクラブでやってる(関口)優志だったので、意思疎通は口に出さなくても感じ合えているので。

──スローが届いた、と。あの1点は今後を考えても大きかったと思いますが?
このプラス1点が良かったかどうかは、スペイン戦で結果を出して初めてわかることなので、まずはスペイン戦に集中したいです。

──弟の龍太選手のゴール。彼は「兄貴からのボールをきっちり決められてよかった」と言っていましたが?
逆に、僕は「パスをくれ」と思っていました(笑)。どちらかというと逆の立場、龍太が後ろで僕が前で点を取る、それがメインの役割なので。もちろん冗談ですけどね。あそこはパッシャン(西谷良介)から来るパスも、相手も見えていて、龍太が空いていることも目の隅に見えていたので、出せば必ず決めてくれるだろうと信じて出しました。

──そこも名古屋で一緒にやっているからこその連係?
あの時はそれぞれが一番いいポジションにいたかなと。パッシャンがパスを選べる状態でしたし、僕が右でフィニッシュをできる状態でパスが来たので、その時点で優位性がありました。そこで前向きにトラップしなかったのは、相手が見えていて、あっちに出せば確実に決まると。名古屋の3人だったことも、それぞれのいたポジションもよかった。すべてが噛み合ったのかなと思います。

──次への修正は?
こうした大会では、修正は難しいものです。直前の親善試合から大きくコンセプトが変わることはないので、微調整と自分たちがやってきたことを信じられるかどうか。その微調整の部分は、個々のコミュニケーションで解決させます。あとはセットプレーですね、僕らのセットでも点を取って行きたいです。

──次は世界ランキング1位のスペイン。グループ突破のため、加えて「W杯で日本が主役になる」ために、どんな試合をしたい?
シンプルに勝つこと。それに尽きると思っています。

──内容的には、どういうことを発揮したい?
世界ランキングを考慮して試合を見れば、相手が試合を支配しているように見えるかもしれませんが、僕らの最大の武器はディフェンスとセットプレーであり、どういう状態であれ主導権を握るというコンセプトがあります。もしかしたら見ている人からすると、僕らのディフェンスの時間が長くて「主導権を握られている」と思うかも知れません。でも僕らは、ディフェンスをしているその時間も、主導権を握ることができる。もちろん攻撃でも主体性を持って行くので、攻守すべての時間帯で主導権を握っているところを見せられたらいいなと思います。

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