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「ゴン攻め」から「ゲシる」まで! 東京五輪のバズった解説7選

UPDATE 2021/08/05

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7月23日に開幕した東京2020オリンピック。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、宮城県以外の全ての会場が無観客開催となったことや、大都市を中心に発出されている緊急事態宣言の影響で、自宅観戦がトレンドになっている。

そうした環境下で、これまで見たことも聞いたこともなかった競技に触れる機会が増えたことは間違いない。さらに観戦者を引き込む「名物解説者」が登場したことで、注目されづらかった競技にも人気集まっている。

そんな一躍脚光を浴びた“人気解説者“を紹介しよう!

感覚的で“イマドキ”ストリート系解説

瀬尻稜(せじり・りょう)スケートボード

東京五輪で誰よりも有名になったと言っても過言ではないのが、スケートボードの解説・瀬尻稜さんだ。24歳の彼が発した飾ることのないこんな表現が、SNS上でも大きな話題となり、あらゆるメディアでこぞって取り上げられ、なおかつ「わかりやすい」という賛辞が集まった。

「鬼やばい」
「ゴン攻め」
「ビッタビタ」

実は、瀬尻さん自身もプロスケートボーダーとして輝かしい経歴を持つアスリートである。幼い頃からアジアを中心とした国内外の大会に参戦すると、11歳で最年少AJSA(日本スケートボード協会)グランドチャンピオンに輝き、2012年には16歳にして3年連続4回目のAJSAプロツアータイトルを獲得した。それ以降も世界大会に出場するなど“五輪に出場してもおかしくない”と言われるほどの実力と名声を手にしてきた人物である。

そんな瀬尻さんは今回、東京五輪の解説者としてテレビに登場。冒頭のような感覚的で感情的な表現のみならず、的確な技の説明が好印象を受け、じわじわと人気が高まっていったのだ。

スケートボード・男子ストリート決勝では、堀米雄斗選手の優勝に際して「おれはめちゃめちゃ感動しました」と、興奮気味に伝え、表彰台のシーンでは「スケートボードのストリートの魅力が今後広まっていってほしい」と、スケートボード界の関係者の想いを代弁した。

瀬尻さんの率直な想いを目の当たりにした視聴者たちは、「わかりやすい」「愛着を感じる」と共感し、Twitterのトレンドランキング1位に「スケボー」がランクインするムーブメントなった。

勅使河原大地(てしがわらだいち)・BMX

BMXフリースタイルの解説で視聴者を盛り上げたのが、解説の勅使河原大地さんだ。以下に挙げた数々のパワーワードは、SNSでも数え切れないほど引用され、拡散していった。

「ゲシる」
「キャンキャン」
「ビタ着」

今大会から五輪の正式競技となったBMXにおいて、勅使河原さんは、競技歴20年を誇る、日本における第一人者だ。父親の影響を受けて5歳でBMXに挑戦すると、中学卒業後に海外へ渡り、15歳で早くもプロとしての活動を開始。国内外の様々な大会で優勝を果たしてきた。。

勅使河原さんが人気を博したのは、常にハイテンションな「パリピ解説」。BMXの男子フリースタイルの予選にあたるシーディングランで、19歳の中村輪夢が87.67点を獲得して2位となったランでは、選手がジャンプを決めるたびに「イェーーイ!」「イエス!」と叫んで盛り上げた。

冒頭で伝えた“パリピ解説”は、選手が着地を完璧に決めた際の「ビタ着」、着地で角や水平面にタイヤが着いて減速する「ゲシる」、ジャンプ中に片足を出した際の「キャンキャン」の意。

日常的にBMXに馴染みがない人からすると謎のワードだが、これぞまさに勅使河原BMX用語集。スケートボードの瀬尻さんとともに、若い年代の選手を中心に隆盛するストリート系競技らしい、“イマドキ”のフレーズをそのまま伝えた解説が人々の心をつかんだ。

“解説というよりもはや応援”情熱系解説

穴井隆将(あないたかまさ)柔道

国別で最多となる9つの金メダルを獲得した柔道において、東京五輪から採用された混合団体戦の解説・穴井隆将さんは大きな話題を集めた。73キロ級の決勝、ラシャ・シャフダトゥアシビリ選手と対峙した大野将平選手に向かって投げかけた言葉から、彼への注目が始まった。

「強い気持ちで!」
「強い気持ちで!」
「強い気持ちで!」
「強い気持ちで!」
「強い気持ちで!」
「強い気持ちで!」

まさかの、同じワードを6回連呼。選手以上に熱い気持ちを持った解説で人気が爆発した。

穴井さんは100キロ級の選手として、2010年の世界選手権で金メダルを獲得。2012年のロンドン五輪は2回戦で敗退したが、引退後も天理大学柔道部の監督となり後身を育ててきた。

解説者としても注目が集まり始めると、混合団体戦の準々決勝でも穴井節が炸裂。大野選手が出場した第2試合では、技をかわす相手に対して「ひどいわ。ちょっとね」と苦言を呈すなど、歯に衣着せぬ発言も。さらに「大野選手がこんだけ我慢しているんで、私ももうちょっと我慢します」と言いつつ、すぐさま「頑張れ、落ち着け!!」と我慢できない様子。大野選手が技ありを取られると「うそ! うそ! うそ!」。敗戦の瞬間は「まじかぁ〜」と大きなため息を漏らした。

この解説を受けてSNSでは「解説面白い」「的確でわかりやすい。声もいい!!(笑)」など、穴井人気が加速。さらには、サッカーでお馴染みの解説者を引き合いに「柔道版、松木安太郎」といった投稿も見られた。

山口徹(やまぐちとおる)フェンシング

フェンシング・男子エペ団体で日本が初の金メダルを獲得する快挙を達成。この試合で解説を務めた山口徹さんは、SNSを中心に大きな話題を集めた。

自身もフェンシングで日本代表として、2004年のワールドカップで個人3位に入賞。同年のアジア選手権では団体2位、個人3位を獲得。2015年からはアンダー世代の日本代表コーチを務めるなど、フェンシングの第一線で戦ってきた人物だ。だからこそ、解説にも熱が込もった。

緊迫の決勝戦、試合経過とともにヒートアップし、最終的には解説というよりも視聴者と同じ目線で“応援”。視聴者は、SNSで「解説している人、わかりやすい解説にフェンシング愛、選手への敬意が伝わる」「ポジティブな気持ちになれた」と絶賛するコメントを投稿した。

ハイライトは、優勝を決めた瞬間だ。

「座っているんですけど立ちくらみが……」

この言葉は一時、Twitterのトレンド入りを果たした。そのほかにも「この光景を目に焼き付けています。皆に伝えないと……」など感情を抑えきれない言葉に、視聴者から共感を集めた。

宇津木妙子(うつぎたえこ)ソフトボール

13年ぶりの金メダルを獲得したソフトボールでは、宇津木妙子さんの解説が好感を呼んだ。

ソフトボール界において、名将と呼ばれる宇津木妙子さん。日本代表監督として2000年のシドニー五輪で銀メダル、続く2004年のアテネ五輪で銅メダルへと導いた。ちなみに、今大会を指揮した「宇津木麗華監督」は同姓ながら血縁関係はないものの、大きな縁がある人物だ。

中国・北京出身の宇津木麗華監督は、24歳で来日し、32歳で日本国籍を取得するときに宇津木家に頼み込んで「宇津木姓」を名乗ることに決めたという。だから宇津木麗華監督は、宇津木妙子さんを姉と慕う。逆に言えば、“妹”の悲願を我が事のように見守っていたのだ。

7回裏の攻防では「焦るなぁ~、焦るなぁ~」と念を送り、優勝の瞬間は「あぁ、よくやった……。みんなよくやったホントに……。頑張ったな……。よくやったな……」と涙声で喜びをあらわに。さらに選手がグラウンド上から解説席に笑顔で手を振ると、中継中ということも忘れて「よくやった! ありがと~う! いいぞぉ~! よく頑張ったぁ~!」と声を張り上げた。

こうした振る舞いに対して、「解説の宇津木さんも一緒に戦っているみたいで勝った瞬間もらい泣きでした」「親目線な解説も良かったー」「素敵な解説をありがとうございます!」など、SNSでは、数多くの好意的な投稿が寄せられた。

興奮気味の実況にも冷静対応の安定系解説

宮本慎也(みやもとしんや)野球

野球界きっての理論派として知られる宮本慎也さんの冷静解説は視聴者のツボを押さえた。

現役時代は東京ヤクルトスワローズでプレーし、アテネ五輪、北京五輪と2大会に出場。ヤクルト時代の監督の故人・野村克也氏の薫陶を受け、引退後も理論的な解説で人気を高めている。

今大会の宮本さんの解説が話題を集めたのは、アメリカとのノックアウトステージ1回戦だ。

1点を追いかける4回、坂本勇人が放った打球が左翼方向に大飛球。すると実況を担当したTBS初田啓介アナウンサーが興奮のあまり「入った! ホームラーン!」と絶叫。しかし宮本さんは冷静に「いえ、違います。フェンス直撃です」と指摘。するとSNS上では「宮本さんが冷静に指摘」「落ち着いた解説いいなー」といった称賛コメントで盛り上がっていた。

そんな宮本さんでも当然、熱を込めるシーンはある。

延長戦に突入した10回裏の日本の攻撃。今大会で初めて打席に立った栗原陵矢が、初球でバントを決めた場面では思わず「シビれた」と一言。バントの名手としても知られる宮本さんの言葉だからこそ、「宮本慎也がシビれるならみんなシビれますよそりゃ」と話題を集めた。

トップ選手の斬新な実況&解説?

本田圭佑(ほんだけいすけ)サッカー

今大会に、オーバーエイジ枠の出場を目指していた本田圭佑選手が、思わぬ形で東京五輪の試合に登場した。予選リーグ第2戦・メキシコ戦でなんと実況&解説デビューを果たしたのだ。

トップアスリートでありながら、一流の経営者の顔を持つ彼が最高経営責任者を務めるNow Do株式会社が運営する音声サービス「Now Voice」(ナウボイス)で実況解説に初挑戦。試合前はSNSを通して「ただただサッカーファンとして観戦を楽しむって内容になると思います」と投稿していたが、的確な試合のポイント解説で視聴していたユーザーを喜ばせた。

さらに話題を呼んだのが、彼のこんな言動だった。

「久保さん」
「堂安さん」

十何歳も年の離れた“後輩”選手への敬称表現。SNSでは、「選手へのリスペクトを感じた」といったコメントであふれ、「解説に重みがある」と本田氏の“東京五輪解説”は好評を博した。

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