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障がいの垣根をとっぱらうサッカー教室を全国で開催!横江怜がロービジョンフットサル元日本代表・中澤朋希とクラウドファンディング

ロービジョンフットサル元日本代表選手からのラブコール

「レオさん、ロービジョンフットサルチームの監督に興味ないですか?」

突然、「中澤朋希」と名乗る青年から横江怜氏の元に連絡が届いたのは、この春のこと。

キッカケは「Clubhouse」。今年2月頃から一気に盛り上がったアメリカ発の音声SNSだ。このSNS上での横江氏の発言に共感した中澤青年が氏にコンタクトを取ったのだった。

現在24歳の中澤さんは17歳の頃、難病のレーベル遺伝性視神経症を患った。それまで1.5あった彼の視力は、わずか1カ月で0.01まで低下し、視界の中心は白くぼやけてしまったという。唐突に、視覚障がい者となった彼を救ったのはフットボールだった。大学生時にロービジョンフットサルに出会い、2019年には日本代表に選ばれた。

「レオさんは、フットボールに対して明確なビジョンを持っていて、情熱もある。Fリーグ中継の解説もとても聡明で、フットサル界で知名度もあるので声をかけさせてもらいました」

という中澤さんに対し、「監督は難しい。そもそも自分は、視覚障がいの方に何かを教えたことがないし。視覚は人が得る情報の8割とも言われているから、より詳細な言語化が必要になるでしょ」と横江氏が答えれば、「その言語化能力に長けていると感じたから、レオさんに声をかけたんです」と中澤さん。

横江氏は、もともと中澤さんとは別のロービジョンフットサル選手との交流があり、少なからず知識と関心を持っていた。そんな2人は、連絡を取り合うなかで「LiROAD(リロード)」というプロジェクトを立ち上げるに至った。

視覚に障がいをもっていない子どもはゴーグルをつけて疑似体験

LiROADの主な活動は、視覚障がいをもつ子どもたちと、障がいをもたない子どもたちが一緒にボールを蹴る“障がいの垣根をとっぱらったサッカー教室”を全国で開催することだ。

発端は「ロービジョンの子どもたちにボールを蹴る場を提供したい」という強い思い。視覚障がいの子どもが、サッカーやフットサルのスクールに行くと、思いがけず、差別を受けてしまうということが、中澤さんの周囲で起こっているのだという。

「中澤くんもそうだけど、パッと見では視覚障がいがあるかどうか、わからないんです。本人にそのことを教えてもらわないと、僕らと同じように見えていると思ってしまう」(横江氏)

もし外見から視覚障がいに気づけたのなら、一緒にプレーする子どもたちやコーチはきっとフォローをしたはずだが……というお互いにとって不幸な現実。そういった経験からボールを蹴る場を失ってしまったり、そもそもスポーツを諦めてしまっている視覚障がいの子どもたちが「フットボールをプレーする楽しさを知る機会を、僕らでつくってあげたい」(横江氏)。さらに、視覚障がいをもたない子どもたちにも知ってもらいたいことがある、と続ける。

「君たちと外見は変わらないこのお友達の目は、実はこういう見え方をしているんだよ」

そのために、LiROADのサッカー教室に参加する障がいをもたない子どもには、視野や視力を制限するゴーグルをつけてもらうという。そして、障がいの有無に関わらず、すべての子どもたちが一緒にボールを蹴るという体験を通じて、お互いの「違い」を認識してほしいのだという。

「中澤くんといて思うのは、見えないからこそ、他の感覚が研ぎ澄まされているということ。外見で判断せず、中身を見る、人間を見る、そういう目は僕らよりもいいのかもしれない。だから目が見えている子どもたちにも、そういう目をもってほしい」(横江氏)

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