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「大きな決断でした」なぜ大島祐哉は卓球専門メーカー以外の用具で戦うのか

卓球×インタビュー 「大きな決断でした」なぜ大島祐哉は卓球専門メーカー以外の用具で戦うのか

2021.05.29 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

MIZUNO TABLE TENNIS 衝撃よ再び。 FORTIUS RE この打球感をすべてのプレーヤーに! MIZUNO TABLE TENNIS 衝撃よ再び。 FORTIUS RE この打球感をすべてのプレーヤーに! スポーツ選手と用具は切り離せない関係だ。特に用具によってプレーが変わる卓球では、用具選択は選手生命にも関わる。そのため、数多くのトップ選手は幼少の頃から卓球専門メーカーと契約し、サポートを受けている。

そんな中、世界卓球銀メダリストの大島祐哉(木下グループ)は、Tリーグ2020-2021シーズン、ラケット、ラバーを“オールミズノ”で戦っていた。男子トップ選手でラケット、ラバーすべてを総合スポーツメーカーのミズノ用具で戦うのは、今のところ大島ひとりだ。

大島
写真:ラバーは両面Q5、ラケットはフォルティウス FT ver.Dと“オールミズノ”で戦う大島祐哉/撮影:ラリーズ編集部いま、ミズノの卓球事業に、注目が集まっている。ミズノと言えば、卓球界では1988年から続く女子日本代表ウェアやシューズの印象が強いが、卓球専門メーカー同様にラケット、ラバーにも本格参入している。

他の専門メーカーから出遅れながらも、どのようにしてミズノはトップ選手が納得する質の製品を世に送り出すことができたのか。

そこには4人のキーパーソンがいる。

卓球事業の立ち上げを中心となって進めた玉山茂幸、卓球用具開発担当の樋口直矢、販促・契約選手担当の橋爪克弥、そしてミズノ契約選手の大島祐哉だ。

今回の特集では、大島の卓球ヒストリーを中心に、4人に話を聞きながらミズノの卓球業界への挑戦の歴史を掘り下げる。

「身体もメンタルも100%に戻ってきた」

大島祐哉
写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:田口沙織「お久しぶり、でもないですね(笑)」爽やかに挨拶をする。私服も似合う男だ。

4月末、インタビュー場所に現れた大島は、昨年10月の取材時とは一転し、どことなく充実感が見て取れた。

大島祐哉
写真:昨季を振り返る大島祐哉「身体もメンタルも100%に戻ってきたかな」/撮影:田口沙織「Tリーグ最後の4連戦ぐらいから少しずつ自分のプレーになってきた。手術が終わって1年、やっと自分の中で身体もメンタルも100%に戻ってきたかなと。最後、ファイナルは負けたんですけど、内容的には悪くなかったので、まずまずというところですね」。

本人が「100%」と総括した通り、昨季の大島は、持ち味である豊富な運動量のフットワークと強力なフォアハンドを取り戻していた。少ない出場機会ながらTリーグで単複合わせて6勝をあげ、全日本選手権ではランク入りを果たした。

写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部
写真:全日本選手権ではランク入りを果たした大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部「今は良くなってきてるので、試合がないですけど、新しいことに取り組みながらモチベーションを保っています」と充実したオフシーズンを送れていることを明かす。

オールミズノで挑んだ昨シーズンの大島祐哉

昨季、大島は大きな決断をしていた。

フォア面をミズノラバーに変え、ラケット、ラバーをオールミズノの用具で戦っていたのだ。

大島祐哉
写真:ラバーは両面ミズノのQ5、ラケットはフォルティウス FT ver.Dを使う/撮影:田口沙織「僕はフォアハンドが生命線」と語る大島は、男子トップ選手の多くが使用するテナジー系統のラバーを高1から10年以上使ってきた。バック面こそ2017年にミズノラバーに変更していたが、フォア面はもっと覚悟のいる選択だったと語る。

大島祐哉
「難しく大きな決断でした」「フォアのラバーを変えることはかなり難しく大きな決断でした。僕のフォアは、他の選手と考え方も違うし求めているものも違う。僕のフォアハンドで打っても負けないようなラバーでないと使えない。たぶん他の選手が試打して良くても、僕はダメというのが何回もあったと思う。でも、そこをミズノが実現してくれた。本当に自信を持って変えられました」。

大島祐哉
写真:フォアハンドを持ち味とする大島祐哉(木下グループ)/撮影:ラリーズ編集部## “大勢の中の1人”ではなく“ミズノの大島”に

そもそも大島がミズノと正式契約を交わしたのは2015年、早稲田大学4年生のときだ。

大島祐哉
写真:2013年ジャパンオープンでの大島祐哉/提供:ittfworld高校時代無名ながらも大学で急成長を遂げた大島は、世界卓球蘇州大会の出場権を手にし、日本代表入りを果たしていた。大手卓球メーカーから契約の誘いもあった。だが、大島が選んだのはミズノだった。

大島祐哉
写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:田口沙織シューズやラケットを元々使用していたが、何より卓球界では新興メーカーであるミズノの境遇が、大島とマッチした。

“大勢の契約選手の中の1人”ではなく、“ミズノの大島”として、自分が先頭を切ってブランド力を上げたい」。

大島祐哉
写真:大島祐哉(木下グループ)/撮影:田口沙織総合スポーツメーカーが1人の卓球選手に託し、業界へ挑戦する異例のタッグが実現した。そこから2020年、大島が男子トップ選手では唯一“オールミズノ”で戦う選手となるまでには、選手生命を懸けた、知られざる試行錯誤の歴史があった。

(第2話 卓球中国代表とのシューズ契約が転機 ミズノ、卓球業界挑戦の歴史 に続く)

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