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改革者・葦原一正が思い描くハンドボール・リーグ1年目は未来への投資「ビジネスよりもまずガバナンスやリーグ構造改革が必要」

クローズな場の理事会を可能な限りオープンに

──リーグのことで言えば、7月14日に初の理事会を開催されました。そこで感じたことは?

五輪のチケットを持っている方たちの招待に関する議題と、規程などルール制定の話が大半でした。専門的な知識を持っている方が多いので、レベルが高い議論ができましたね。また、みなさんご指摘が鋭いので、議事、進行の私が大変です(笑)。でも私はいい雰囲気で1回目の理事会ができたと思っています。所謂シャンシャン理事会ではなかったです。。根回しをして、議事、進行して決議なし、決議なしでさっと終わる。それでは意味ないので、ちゃんと議論してやっていく理事会になっています。

──葦原さんがすすめたい方向性に誘導するとかではなく、理事の方の意見も聞いて反映させていく形?

誘導したいけど、誘導できるメンツではないですから(笑)。でもいろいろ言ってもらった方が精度が高いものが出来上がります。いろいろなスポーツの理事会や取締会に出てきましたが、今までの中で一番いいと思っています。録画して公開したくらいですが、それするとみんな喋らなくなるからできないですね(笑)。

──その言葉からもいい議論されている感覚があります。ただ、理事会とは基本的にクローズの場であり、結論だけが固い文章で発表されることが多いです。しかしハンドボールはその理事会の様子をすごく見せてくれる。あまり今までのスポーツでは例のないことです。

基本はオープンでやりたいと思っていて、そうじゃないとどうしてもよくわからない方向に進んでしまう。ただ、理事会は機密情報なども勿論あり、全てオープンにはならないです。それでも理事会の議題によっては配信してもいいかもしれないですね。熱心なファンの方たちは、誰がどれくらい喋っているかを知りたがっているでしょうし(笑)。

──理事に就任した太田雄貴さんがどのような発言をしているか気になります。

太田さんは結構ぶっ込んでくるんですよ。そしてそれが極めて正しいことを言ってくる。五輪のチケットについても太田さんは真っ当で、来年の3月だと遅いと。プレーオフは来年の3月なのですが、8月のリーグ開幕戦に合わせるくらいもっと早くやるべきだと。でもオペレーションの関係でそれはかなり難しいと返答しているのですが、でも、彼が言っていることは極めて正しいですよね。

──今回の理事会では所属、性別、年齢をリスト化して外部にもわかりやすく見せていました。この理由は。

私はずっと理事会が大事だと言っています。勿論各チームの意見も大事ですが、彼らだけで議論すると、お互いの利害がぶつかり合うので収まらない話が出てきます。理事会は最高決議機関で、最終的には理事会で決めると各チームとファンの皆さんに言い続けています。そうすると理事が誰なのかは大事な情報。どんな人がいるのかなどを説明する必要があると思っています。

──クローズな場をできる限りオープンにすることで風通りをよくしているのですね。

もっと余計なこと言うと、理事は5月に発表しました。これはあえて早く発表していて、我々の議論プロセスも明確にし、見せ方も今までと違うことをしました。なぜあのタイミングかというと、6月になればいろいろなNFが役員改選することはわかっていました。先陣を切れば、もう少し他の団体もオープンに情報を出したり、刺激を与えられたりできると思ってやりました。ただ、6月のNF役員改選を見ましたが、しれっとリリースを出して終わりというものが多く、日本のスポーツ界はまだまだ古いかなと正直思いました。フェンシングの武井壮さんだけはぶっ飛んでいるなと思いましたけどね。

──様々なお話をありがとうございました。最後にハンドボールに期待されている皆さんにメッセージをお願いします。

すぐ劇的に何か良くなることを期待している方も多いと思いますが、ちょっと待ってくださいと。きっといい方向に話は行くと思っています。早くこういうリーグになりますとファンやメディアにお伝えできるように頑張りますので、もう少しだけお時間ください。

■プロフィール

葦原一正(あしはら・かずまさ)

1977年生まれ。外資系戦略コンサルティング会社、オリックス・バファローズを経て、2012年より新規参入したプロ野球の横浜DeNAベイスターズに立ち上げメンバーとして入社。2015年、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグに初代事務局長として入社し、男子プロバスケの新リーグ「B.LEAGUE」を立ち上げ。2020年、株式会社ZERO-ONE設立。2021年から日本ハンドボールリーグ(JHL)の代表理事就任。

Twitter:@kazu_ashihara

■クレジット
写真:JHL提供
取材・構成:Smart Sports News 編集部

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