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【渡邉知晃コラム】ベンチで怒鳴る比嘉監督と、フォローする上村充哉。4年前の屈辱を乗り越えたイケメン主将の振る舞い|プレーオフ準決勝

チームに落ち着きを与えたキャプテン・上村充哉

もう一つ、触れておきたいことがある。

プレーオフ準決勝でも、普段のリーグ戦と変わらず、選手と一緒に戦い、時には鼓舞し、時にはというより頻繁に“怒っている”比嘉監督がいた。立川をよく知る者からすれば日常の光景である。特にディフェンス面でのミスの際には、かなり大声をあげて怒鳴っている姿が印象的だ。

そうした場面で、キャプテン・上村充哉のピッチ外での貢献が大きかった。比嘉監督が怒った際や、味方がミスをしてチームの雰囲気が悪くなりかけると、すかさず「大丈夫!いいよいいよ!」「問題ない」と声をかけていた。このシーンは、試合を通して何度も見られた。

立川にはベテランの選手もいるが、若い選手が多いチームであるため、試合中に雰囲気が悪くなると、そのままズルズルと引きずってしまう危険性がある。特に、一発勝負に近いプレーオフの場合、勝ち進んでいくためにはチームの雰囲気は非常に大事な要素なのだ。

これは、上村自身もピッチに立った2018-2019シーズンのプレーオフの経験が大きいだろう。このシーズンをリーグ戦3位で終えた立川(当時、立川・府中)は、プレーオフ準決勝で2位・シュライカー大阪と対戦した。

筆者もこの場に選手として立っていたが、重要な第1戦でチームとして崩れてしまい、失点を重ねた立川・府中は、4-11という大敗を喫してしまった。これにより、第2戦では7点差をひっくり返さなければならない状況に追い込まれ、第2戦は6-2で試合に勝利したものの、決勝進出を逃してしまった。

その時の経験が、今に生きている。

立川としては、2019年以来のプレーオフ進出となった今シーズン。同じ失敗を繰り返さないために、何をすべきなのか、キャプテンとしてやるべきことを上村は理解している。どんな状況になっても、チームが常にいい雰囲気で戦うことができるように、声を出し続けていた。

浦安に先制点を許した立川だったが、その直後に酒井遼太郎のゴールで同点に追いつくことができたのは、チーム全体が失点に対して落ち込むことなく切り替えることができたからだろう。

今シーズンの立川は、リーグ戦においてたくさんの苦しい試合や逆境をはね返し、勝ち点を重ねてきて、今がある。開幕3連敗から始まり、圧勝するような簡単な試合はほとんどなかったが、接戦をものにする強さがある。

その強さの中心にいるのが、大きく成長した上村充哉だ。絶対王者・名古屋オーシャンズに挑む決勝で彼は、どんな戦いを見せてくれるのか。

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